芽生えた夫婦共通の夢は…

そうして、片づいた家で始まった再婚生活。半年ほど経った頃、夫婦共通の夢が芽生えた。

「私も夫も、保育士として働いています。けれど、民間の保育園は、人手不足もあって子どもとしっかり向き合える園が少なくて……どこで働いてもジレンマに陥るんです。だったら、自宅のリビングをリフォームして、保育園を一から作ろう! と、意見が一致したんです」

そこで、子どもたちが十分に遊べるスペースを作るべく、さらなる片づけが始まった。使わないまましまい込んでいたマッサージ器や扇風機、幼児には危険なガラス扉の棚などを処分。さらに、畳から汚れに強いフローリングに張り替えた。物を減らす一方で増やすべき物もあり、おもちゃや絵本を収納する木製の備え付け棚を、日曜大工が趣味の里佳子さんの父が着々と作ってくれている。

「一回りも下の夫との再婚に反対だった父親も、最近はよく家に来てくれます。さらに、高卒の長男と、通信制高校在学中の次男が、『通信教育で大学に通って、保育士の免許を取るよ』と言い出して……。将来は家族経営の保育園も実現できるかも。来年、認可保育園の申請が通れば、まずは夫婦だけで開園します! これまで離婚や突然の引っ越しで何度か片づけをしたことはあるけれど、こんなにもワクワクする片づけは初めてでした」

さまざまな人生の転機で行う片づけは、空間だけでなく、自分の生き方や考え方も一度リセットし、新しく夢や希望と出会うきっかけにもなるようだ。

 


ルポ・私が自宅リセットをした理由

【1】過酷な介護生活を終え、母の部屋で見つけたものは
【2】夫婦2人の「終の棲み家」に似合う物だけ残したら
【3】前夫の痕跡をなくした後に芽生えた夢は