ベイビーブーを支えた「うたごえ喫茶ともしび」
「いやもう、初めて店内に入ったときは、その音量にびっくりしました!」と語るのは、リーダーのユースケだ。「僕らはそのころグループの方向性に悩んでいました。勉強のために〈うたごえ喫茶ともしび〉に行くことを勧められて、軽い気持ちでのぞいてみたんです」
バリトン担当のケンもカルチャーショックを受けたと振り返る。「僕らはカラオケ文化で育った。大人になってから生演奏で合唱することなんてないですからね。声量と迫力に圧倒されました」
「しかも知らない曲だったこともショックでした」というのはリードボーカルのチェリー。「店内に毎月のリクエストランキングが18曲掲示されているんですが、10曲以上知らなかった。あまりのことにあ然としました」
ベイビーブーは当時、オリジナルソングで勝負するおしゃれなコーラスグループとして活動していた。若い女性がファン層の中心だったという。
「そのころ、神戸と原宿でマンスリーライブをやっていたのですが、オリジナルと昭和歌謡のカバー曲の半々で選曲していました。オリジナルだけでは限界があったけれど僕たちが愛する昭和歌謡を増やすとファンが減っていく。この先、歌い続けていけるのか?と不安を抱えながら活動していたんです」とチェリー。「このままじゃいけないということは感じていました」
そんな中での「ともしび」訪問。メンバーそれぞれが転機を感じていた。各地で地道な路上ライブを続ける一方で、定期的にともしびに通い始め、常連になったメンバーたちは、2013年からマンスリーライブを開催するまでになる。