相川さんが学年1位になった時

今の頑張りは未来の自分を助けてくれる

頑張ることが未来の自分の助けになると考えてもいました。これは過去から学んでいたことでもありました。デビュー当時は周囲の方々に助けていただいていましたが、やがて自立を求められます。自分で曲を作るようになってからは孤独な作業の連続でしたし、責任の重さに逃げ出したくなることもありました。

それでもなんとか踏ん張って、今日まで歌ってこれた。苦しくても逃げずに頑張った若き日の自分に「ありがとう」と言いたいなと思います。だって今の自分があるのは、過去の自分が頑張ってくれたから。だとしたら50歳を間近に控えた今の自分が頑張って学んでおけば、60代の自分もまた輝けるのではないかと思って楽しみで。それが私の今の原動力だといえるかもしれません。

本音を言えば、学びなおす当初は年齢的にどうなんだろう? という気持ちもありました。英語検定を受けに行った時も、若い人たちの中に保護者が一人みたいな感じで居心地の悪さを感じていました。ところが試験会場に入ったら、準一級の面接の椅子に70代くらいの白髪のご婦人が座って一所懸命に単語帳を捲って予習されていた。その姿が、意欲がみなぎっていてカッコよかったんですよ。その瞬間に年齢的なコンプレックスなんて存在しないんだ、勉強適齢期は人それぞれなんだ、私は私で良いんだと思うようになりました。

学び始めてから思ったのは人生経験が武器になるということです。たとえば神話の授業では、若いクラスメイト達は昔話を聞いているような感じで、面白いと感じているようでしたが、私にとっては答え合わせのような感覚でした。どの場所が出て来ても自分が「行ったことがある」場所であり、風景が目に浮かぶんですよ。そこへ先生の解説が加わると、また違った観点から神話を受け止め、なるほど~と面白くなる。大人になって学ぶということは、経験を活かせるというベネフィットがあるのだと発見しました。

もちろん暗記力とか集中力では若い人に勝てません。でもコツコツ頑張るというのが本当に大切なことだと思います。ある時、成績発表の時に、「1/200」と記してあったので、これはなんだと不安になって教務課へ聞きに行きました。すると対応してくれた職員の方が「凄いですね、学部で一位になったんですよ」って。私はちょっと信じられなくてポカンとしてしまったのですが、努力が認められたんだと思うと、最高に嬉しかったです。