気持ちが晴れないのは…

怒り心頭のカスミさんだが、先立つものがなければどうにもならないし、母の介護を放棄して家を出るわけにもいかない。妹に頭金を融通した親の言い分は、今住んでいる家はいずれカスミさんに相続させるのだから、妹にはその分を早めに渡しただけだというものだった。

「相続する頃には家はぼろぼろ、どうせ建て替えなくてはいけなくなる。家が欲しくて同居したわけじゃないのに、釈然としない話でしょ」

カスミさんの気持ちが晴れないのは、自分と妹に対する親の愛情に差があるのではないかという疑念があるから。長女として親の言うことを聞き、体の弱い母を助けて家事を切り盛りしてきたつもりだったが、自分に内緒で妹にお金を渡すなんて。

「それでも私の中には、弱っていく親を置いて家を出ることはできないという長女としての義務感もあります。ただ、妹を援助するなら、私に一言相談してくれてもいいのにと思うんです。反対はしないと思う、たぶん(笑)」

親の愛情を秤にかけたら、自分より妹のほうに針が振れた。親の愛情にも格差があるんだと感じたカスミさんだった。

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「血は水よりも濃い」というが、「きょうだいは他人の始まり」ともいう。兄弟姉妹に格差などないと思いたいが、どこにでも格差はあるものだ。家族は格差感情が生まれる一番小さな社会だから。まして、家族、親族という閉じられた輪の中では、取るに足りない微妙な差が余計に気になるというもの。きょうだいなら育った環境も同じなのに、否、同じだからこそ、小さな違いが大きな意味を持つのだろう。

家族の中でも「違い」があることを前提に、それを「格差」「優劣」ととらえないほうが建設的だ。差別は差別される側にのみ痛みを押し付ける。家族の中の格差は、個々人の努力や気の持ちようで解消できる側面もありそうだ。

 


ルポ・学歴から愛情まで、きょうだい間の格差にモヤモヤ
【1】「うちの娘の成績は学校で一番!」優越感が生きる支えの義姉
【2】従兄弟は東大、私は三流私大。つい卑屈になってしまい…
【3】妹が家を新築できたのは、親の援助があったから