あらためてあらすじ

第69話では、最高裁の判事を退任する穂高に、祝賀会で花束を渡す役目を任された寅子の姿が描かれました。

穂高はあいさつに立つと「こういう会を設けてもらえるのも、出がらしとして最後まで自分の役割を果たすことができたからなのかな。そう思おうと思った」「法律を一生の仕事と決めた時から、旧民法に異を唱え、ご婦人や弱き者たちのために声を上げてきたつもりだった」「出がらしも何も、昔から私は自分の役目なんぞ果たしていなかったのかもしれない」などと話します。

すると寅子の頭に「君のようなご婦人が学ぶにふさわしい場所だ」と法曹界に勧誘する穂高の姿がよぎり、同時に涙が。

続けて「私は大岩に落ちた一滴の雨だれにすぎなかった」「もうひと踏ん張りするには私は老いすぎた」「後はよろしく頼む」と述べる穂高。そこにきて我慢ができなくなった寅子は、花束を渡す役割を放棄。会場を飛び出します。

廊下で桂場から「ガキ!なにを考えているんだ」と叱責される寅子。

それから穂高と対面すると「謝りませんよ。私は。先生の一言で心が折れても、そのあと気まずくても。感謝と尊敬はしていました。理想のために、周りを納得させようと踏ん張る側の人だと思っていたから」「花束で、あの日のことを、そういうものだと流せません」「先生に、自分も雨だれの一滴と言ってほしくありません」と言う寅子。

すると穂高は突然「あー、あああ、あーあーあーあ!」と叫び、「謝ってもダメ。反省してもダメ。じゃあ、私はどうすればいい」と返します。

対して寅子は険しい顔で「どうもできませんよ!」「我々に一滴の雨だれでいろと強いて、その結果、歴史にも記録にも残らない、無数の雨だれを生み出したことも」「先生には感謝はするが許さない。納得できない花束は渡さない」と答え、その場を去ります。

とぼとぼと会場に戻る穂高をその場に残し、屋上に駆け上がった寅子は「わー!!」と叫び、頭を抱えてしゃがみ込むのでした。