(イラスト◎久保ミツロウ)
フジテレビ「久保みねヒャダこじらせナイト」の久保ミツロウ・能町みね子・ヒャダインによるおしゃべり連載「久保みねヒャダこじらせ公論」。番組ライブ終了後に楽屋で交わされる、打ち合わせなしの雑談を収録しております。 今回は2024年6月30日に開催されたこじらせライブの後のおしゃべり。昼の部終わりと夜の部終わり、それぞれで収録しました。海外旅行に行かなくなった久保さん・能町さんと、たびたび海外に行くヒャダインさんによる旅行の話から始まります。(司会・構成◎前田隆弘

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旅行は早めに行ったほうがいい、なぜなら!

久保 私はもう旅行に全然行かなくなったから、ちょっとしたお出かけや飲み会がでかいイベントになってしまったんだけど、ヒャッくんはめちゃくちゃ旅行行ってるよね。

ヒャダ 明後日からもニューヨーク行くんすよ。5泊で。

久保 そう、「ニューヨーク行くんだな」と思って。ちょっと味わってきてよ、物価高を。

ヒャダ 1ドル161円の世界を。 ホテルは取ってあるんですけど、友達がニューヨークにいるので、スーパーで食材買って、家に行って料理作って、地元民みたいな経験をしたいなと思って。

能町 そういうの、いいですね。

ヒャダ 正直、けっこう弱ってたんですよ。5泊くらい時間が空いて、「あ、これ海外に行けるな」と思ったんですけど、こんなに長い時間、日程を空けてくれる友達がいるわけでもないし、となると一人旅しかないんですけど、もうインプットもしんどいなと。ヨーロッパ行くのもしんどいし、一人で英語でコミュニケーションするのもしんどいし、もうどこにも行きたくない……となったときに、「友達のところに行くという大義名分があればいいや」と思いついて。 それで(友達がいる)ニューヨークになったんですよ。前にチェコに行ったとき、後輩を連れて行ったんですけど、そうすると料理も頼みやすいし、一緒に行動もできるから良かったんですよね。だから最近、一人旅をあまりしなくなってることに気がついてしまって。

能町 それは私もそうなんですよ。『カウンセリングするつもりじゃなかった』でも書いてるけど、私も一人旅はだんだん面白くなくなってる。

久保 でも今のニューヨーク行けるの、うらやましい。

ヒャダ 前に行ったのはコロナ禍の直前だったので、 アフターコロナを見てこようと思ってます。

久保 こないだ、「お金がかかっても旅行はしたほうがいい」という話を友達としてたんですよ。友達が言うには、「旅行は早く行っておいたほうが、そのあと旅行の思い出をたくさん話せるし、コスパがいい」って。日割りのコスパがね。

──それは一理ある。

ヒャダ それ、『DIE WITH ZERO』という本に書いてあったんですよ。早めに行ったほうがいいって。 「お金を貯めておいて、60代・70代になったら行こう」なんて思ってたら、それだとあと10年20年しかその旅行の話をしゃべれない。でも20代に行ったら、その話を60年くらいできると。

久保 そう、その話。日割りのコスパ。

能町 確かにそれはそうだね。

久保 そう言ってた友達と、前に「ニューヨークに行こう」という機運が高まって、旅行したことがあるんですよ。それぞれ別の便で行って、ニューヨークで待ち合わせして。

ヒャダ いいですね、現地集合。

久保 それでミュージカル見に行ったり、野球見に行ったり、夜はめっちゃいいディナーを食べたりして、お金をかけられるところにはちゃんとお金をかけて。今でもそれを思い出して会話できるって、確かにコスパがいい。でもその思い出を話してるうちに「あのときはまだ安く行けたからね」という流れになって、私が「もう今は高くて行けないよね……」みたいなノリになるたびに、「いや、行こうよ!」ってその子は言うんだよ。

ヒャダ いい友達!

久保 でも「そこまでしてでも海外に行きたい」という心構えが、今はなさすぎる。だからいろんな面倒を乗り越えて「ニューヨークに行く」という選択ができるヒャッくんは偉いよね。

ヒャダ なんか「行かないとダメだな」と思ったんですよ。

久保 行かないとダメ?

ヒャダ 「このまま自分の中の面倒くささや、もういいやという気持ちに飲まれて動かなかったら、中年クライシス突入だな」と思って。

能町 そう言われると、ちょっと行きたくなるな。

ヒャダ ここは無理してでも行って、「自分は中年クライシスなんかじゃない! 若いんだ!」と思い込ませる(笑)。ずいぶん前に久保さんが言ってましたよね。お風呂だったか、目覚めたときだったか、「今日も私の足腰は元気だな」って。

能町 言ってた言ってた。「今日も私は2本の足で立派に立ってるな」みたいな言葉ですよね。

久保 お風呂掃除してるときだ。

ヒャダ あれ、いい言葉だなと思いまして。あの言葉、今もけっこう引きずってるんです。「今日はちゃんと歩けてる」と思うけど、将来……60代、70代になると、歩くのがしんどくなるんですよね。

久保 しかも自ら望んで行った旅先にたどり着いて、帰ってこれるってすごいハイスペックじゃん。あんなの自分の両親に今からやれと言っても、やっぱりやれないわけで。

ヒャダ 無理っすよ。今はそれが当たり前のようにできてる。この立派な2本の足で立ててる。行きたいところに歩いていけるときに、なるべく行っておこうと思いまして。

能町 そう言われると行きたいな。私、コロナの年にジョージア旅行をキャンセルしてるんです。2020年6月に行くはずだったんですよ。

ヒャダ ギリギリアウトだった。

能町 時期的に行けなくなっちゃって、キャンセルして。結局それ以来、プライベートで海外には行ってないです。

ヒャダ 行きましょう!

久保ミツロウ・能町みね子・ヒャダイン(2024年6月30日のこじらせライブより)
(2024年6月30日のこじらせライブより)

能町 ジョージアはちょっと心残りがありますね。でも、2020年の時点ですでに飼ってはいたけど、今はもう猫への愛情が深まりすぎているので。

ヒャダ それはほんとにそう。

能町 4日5日離れるのも、けっこうつらいですね。

久保 わかる。

ヒャダ わかります。僕も旅行に行く前、6日くらい離れると思ったら、膝に乗ってる猫を撫でながら泣きましたもんね。

一同 (笑)

能町 わかります。私も猫飼い始めてから、初めて3泊くらいの旅行に行ったことがあって、でも家にはアキラ(仮の夫)がいるから別に問題ないんですよ。函館に行ったんですけど、ホテルに着いて、ベッドにゴロンと寝たときに「私、何してるんだろう」と思って泣いた。

一同 (笑)

能町 「なんで私は我が子をほったらかしにして、こんなわがままなことをしてるんだ」と思って、泣きました。

ヒャダ 旅行、楽しくな〜い(笑)!