「私は親御さんへの教育を大事に考えています。週に50分だけのレッスンより、親との時間のほうが子どもにもたらす影響は大きい」(撮影:洞澤佐智子)
パリ五輪がいよいよ開幕。夢半ばで病に倒れるも、見事に競技の場に戻ってきた池江璃花子選手。「目標はリオの自分を超えること」と再度夢に挑む。母・美由紀さんが娘について語った『婦人公論』2022年6月号のインタビューを再配信します。

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幼児教室を経営しながら、シングルマザーとして3人の子どもを育ててきた池江美由紀さん。末娘は、女子競泳で17種目の日本記録を保持、2016年、21年と2大会連続でオリンピックに出場した池江璃花子選手である。生徒にもわが子にも貫く〈池江式〉教育法とは。現在発売中の『婦人公論』6月号から記事を配信します。(構成=山田真理 撮影=洞澤佐智子)

育児書で幼児教育を知って

東京・小岩に最初の教室を開いてから、27年が経ちました。教えた子どもの数は、延べ2000人以上になります。教室を巣立ってからも近況を伝えてくれる生徒が多いことは、嬉しいですね。それにいま6人いる講師の半分以上は、昔の教え子のお母さんたち。教室の方針や指導内容を信頼し、「自分も教えたい」と思ってくれているということですから、これも私の誇りのひとつです。

指導のベースになったのは、子どもが本来持つ能力を最大限に引き出す、右脳の開発を目的とした幼児教育。そのメソッドを学んだうえで、独自の教材を取り入れるようになりました。

実は、私は親御さんへの教育を大事に考えています。週に50分だけのレッスンより、親との時間のほうが子どもにもたらす影響は大きい。特に子どもの性格は、大人が想像する以上に「言葉」で形成されます。

たとえば「あなたは落ち着きがない」といつも言われていると、「自分は落ち着きがないんだ」という自己暗示にかかってしまうのです。落ち着きがないのは、親御さんが育てた結果の姿。だからそうしたネガティブな評価を、子どもに「聞かせない」ことが教育の第一歩なんです。