《ヘビ女》が出た!

そんな小学生時代、とある真夏の夜のことだった。いつものように長姉に起こされ2人でトイレへ向かう。姉が電気をつけて引き戸を開けた瞬間、「ギャー!」と悲鳴が。

ついにヘビ女が出た!と慄き、恐る恐るトイレをのぞき込むと……なんとそこには、大きなヘビがトグロを巻いていたのだ。換気のために開けていた小窓から入り込んだのだろう。

慌てて2階へ飛んで逃げ、母が蚊取り線香で煙攻めにしてなんとか追い出した。母はしみじみと言った。

「こんな時、お父ちゃんがいてくれたら……」

60年近く経った今でも、私はその時のことを夢に見てうなされる。


※婦人公論では「読者のひろば」への投稿を随時募集しています。
投稿はこちら

※WEBオリジナル投稿欄「せきららカフェ」がスタート!各テーマで投稿募集中です
投稿はこちら