自分がやらないわけにはいかない
19歳で林家正蔵に入門した時、師匠は69歳でした。孫に近い年齢でしたからね。とんだ若造ですよ。そして、自慢じゃないですけど「破門だ!」って言われたのが23回。それでも、辞めさせないでいてくれた師匠の大きさで、今があるんです。
自分がそうしてもらったんだから、私も弟子を簡単に辞めさせたりはしない。自分も大事にしてもらったんだから、自分がやらないわけにはいかない。それも思っています。
23回の失敗、私はね、全部お酒です。飲んでのことです。そんな中で兄弟子が師匠との間をとりなしてくれて、謝ってもくれました。そこで兄弟子から言われたことが本当に大きかったんですよね。
「酒を飲むなとは言わない。飲んでもいいけどな、気を遣え」。これはね、目が覚めました。
酒をやめなくてもいいうれしさもありましたけど(笑)、あ、そうかと。酔っぱらってギャーギャー騒いだらいいというものではない。周りの人に気遣いをする。そういう場なんだ。自分が楽しむというよりも、人に楽しんでもらう。そういう風に頭を切り替えて、いろいろと変わっていった気がします。