1歳のパンダの爪も鋭い

ここで、赤ちゃんを移動させる方法について少しお話ししましょう。

生まれて間もないころは体温が下がるのを防ぐためタオルなどにくるんで両手で持って移動します。

一方、パンダのお母さんは、ほかの四足歩行の動物もするように赤ちゃんの首の後ろをくわえて移動させますが、赤ちゃんにとっても安心する体勢のようです。

少し大きくなると、スタッフはおしりを抱えるように安定させて抱っこしたり、わきの下にあたるところに後ろから腕を回して抱えて抱っこします。極力、向かい合いで抱かないようにするのは、何かの拍子にひっかかれる危険があるためです。

楓浜が1歳ごろ、スタッフにもじゃれついて遊ぶようになったのですが、本人には悪気はないものの、腕に爪を立てられたことがありました。

制服のウィンドブレーカーを着ていましたが、後で見てみると、生地に覆われていたのにかなりのミミズばれ。それほど鋭いことを改めて認識した経験でした。

 

※本文データは特記がない限り、2022年11月現在。

※本稿は、『知らなかった! パンダ――アドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ』(新潮社)の一部を再編集したものです。

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知らなかった! パンダ――アドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ(著:アドベンチャーワールド「パンダチーム」/新潮社)

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四半世紀を超えてジャイアントパンダを飼育するアドベンチャーワールドは中国を除くと世界一の繁殖例を誇る日本の施設。人間に換算すると約90歳の父・永明を筆頭に、グレートマザー良浜とその娘たちを日々お世話する飼育スタッフが、意外な素顔や出産・育児、不思議な生態について詳しく紹介。誰かに話したくなるトリビア満載!

 

アドベンチャーワールド(和歌⼭県⽩浜町)

温暖な紀伊半島の和歌⼭県⽩浜町にある陸、海、空の140種1400頭の動物が暮らす「こころにスマイル未来創造パーク」をテーマに掲げたテーマパーク。ジャイアントパンダをはじめ、希少動物の繁殖に成功し、保護研究活動に努めている。

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