フィンランドの教育がもたらす影響
また、ここで見てきたように、フィンランドの教育では、子どもや若い人に対して肯定的で力づける発言が多い。教育だけではなく社会政策などについても言えることだが、人に対する肯定的な感情が強い。
一方、日本では、教育の場でも社会的にも人に対する否定的な感情が強い。特に、文科省や学校が子どもや若い人について否定的な言葉を発していることには、胸が潰れる思いだ。
たくさんの子どもや若者が傷つき、希望を失い、自分の人生を選択していくこともなく、時には命まで断ってきた。
2022年は小中高生の自殺者は合計514人で過去最高、2023年は513人である。
良い選択は良い人生のために大事だが、それは自分の意思で選ぶだけではなく、様々な社会的な要素も介在する。
ここで全部を紹介することはできなかったが、心理学の帰属理論、また楽観主義・悲観主義・現実主義の考え方などの説明もされていてとても視野が広い。特に心理学の観点から、現在の世界でいかに良く生きるかを考えるものになっている。
幅広く知り、考え、選択して生きていくことを励まして、高校生を勇気付けていることに感銘を受ける。
フィンランドの教育が、後の人生にもたらすポジティブな影響は大きいと思われる。
※本稿は、『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』(著:岩竹美加子/青春出版社)
世界幸福度ランキングで、7年連続1位に輝いたフィンランド。
フィンランドの学校には「良く生きるための授業」がある。
「良い人生って何?」「生きる意味はどこにある?」などの問いに向き合いながら、自分だけの答えを探すフィンランド独自の授業、そしてその教科書から、幸せに生きるヒントを探る。