認知症を公表し、仕事を続ける芦屋小雁さんと、妻の勇家寛子さん(撮影=福森クニヒロ)
2025年3月28日、喜劇俳優の芦屋小雁さんが老衰のため京都市の自宅で逝去されました。享年91。小雁さんは10代で兄・芦屋雁之助さんと兄弟でコンビを組み漫才の世界へ。テレビや舞台を中心に活躍し、コメディドラマ『番頭はんと丁稚どん』への出演を機に、雁之助さんや大村崑さんと共に人気を博しました。2018年に認知症を公表して以降も、仕事を続けていた小雁さん。妻・勇家寛子さんとのインタビュー記事(『婦人公論』2022年12月号)を再配信します。


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名脇役としてテレビや舞台で活躍してきた芦屋小雁さん。2018年、血管性認知症とアルツハイマー型認知症の合併型を患っていることを公表した。現在は、30歳下の妻・勇家寛子さんのサポートを受けながら仕事を続けている。記憶が曖昧になっても、舞台への思いは強い。(構成=野田敦子 撮影=福森クニヒロ)

佐々木蔵之介さんも驚きの瞬発力

寛子 昨夜、小雁さんが出演したドラマ『ミヤコが京都にやって来た!』を一緒に見ましたね。

小雁 覚えてへん。

寛子 「これ、わしか? わし、こんなんやったっけ?」って言いながら見てましたやん。

小雁 あはははは。

寛子 小雁さんが主演の佐々木蔵之介さんに駆け寄るシーンがあるんですけど、瞬発力があってすばらしかった。蔵之介さんもびっくりされて、「ええアクションですねえ!」って言うてくれはったんですよ。

小雁 ええ天気やねえ!

寛子 ほんまに、ええ天気!暑うないですか?

小雁 大丈夫、大丈夫。

寛子 今回のドラマに出演が決まったきっかけは、18年公開の映画『噓八百』でした。その時ご一緒した蔵之介さんが、小雁さんの演技を見て、「大御所やのに、芝居のテンポや間合いが若い。僕も小雁さんみたいになりたい」とおっしゃって、今回呼んでくださったんです。

小雁 (カメラに向かってとびきりの笑顔を作る)

寛子 小雁さん、カメラに撮られるの好きなんです。(笑)

小雁 (見つかった! というようにおどけた表情で)あははは。