60代以降の医療費は「保険」より「預貯金」
自分らしい老後を送るため、とくに単身者が備えておきたいのは医療費です。人が生まれてから死ぬまでにかかる「生涯医療費」は平均2700万円(このうち個人が窓口で負担するのは年収に応じて3~1割)。そのうち約半分は70歳以降にかかると言われます。現在は高齢者医療制度や高額医療費制度などの公的制度で低めに抑えられている高齢者の自己負担も、今後はじわじわと高くなっていくでしょう。
そうした不安に備え、民間の医療保険に入っている方も多いと思います。ただ、若い頃に入った保険は最新の先端医療に対応していない場合もあるので、できれば50代前半で契約内容を見直しておくといいですね。
60代以降は保険料が高額になるため、新たな保険に入るよりも、100万~200万円を「医療費」として口座に準備しておくことをおすすめします。ちょっとした通院ならば生活費内に収まるかもしれませんが、突然の入院などいざという時にも安心です。
今の住まいで最期を迎えられるのか
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年以降、施設不足から「高齢者の医療・介護はなるべく在宅で」という流れになっていくと予想されます。
現在の住まいはそうした暮らしに適しているでしょうか。一人暮らしには広すぎる一軒家や、買い物や通院にも不便な家は住み替えましょう。家賃や初期費用の安い公営住宅、見守り等を受けられるサービス付き高齢者向け住宅に移るといった選択肢もあります。
介護費用は、一人あたり平均500万円と言われています(介護期間5年弱、一時費用69万円+月7.8万円)。単身者の場合は他人の手を借りる必要があるので、もう少し準備できると安心ですね。
在宅中心になるとはいえ、頼れる家族がいない場合、最後は施設で過ごす可能性も考えておくべきでしょう。有料老人ホームでも「介護付き」「住宅型」などのタイプがありますし、サービス内容や費用もさまざま。元気なうちから見学会や体験入居に出かけ、病気になったときの対応や看取りまで行ってくれるのかなど、細かく確かめておくと安心です。
費用については、入居一時金(0~数千万円)に加えて月々の費用(15万~30万円)、また消耗品やこづかいなども含めていくら必要か、自分の老後資金で間に合うかを試算しておくといいでしょう。
資金が少ない人も、ケアハウス(軽費老人ホーム)や特別養護老人ホームなど公的な施設を利用できます。住んでいる地域にそうした施設がどれくらいあるか、利用状況はどうかを調べておきたいですね。