寝たきり、認知症……もしもの時のお金管理は

年を重ねた時の「お金の管理」に不安をかかえる人も多いでしょう。どれだけ老後の資金をしっかり準備していても、病気で倒れて寝たきりになったり、認知症になって判断能力が失われれば、お金を動かすことも、入院・入所に必要な契約を結ぶこともできません。

離れて暮らす家族や信頼できる友人がいるならば、連絡先を財布に入れて身につける、入院一時金程度の金額を口座に入れ、カードのある場所と暗証番号がわかるようにしておくといった備えがあれば安心です。

より確実にしておきたいならば、「任意後見制度」を利用する方法もあります。自分に判断能力があるうちに、家族、親戚、友人、行政書士や弁護士などの専門家、NPOなどの法人と公正証書による正式な契約を結び、後見人として財産管理や介護サービス等の事務手続きを代行してもらうのです。最近では、一部の信託銀行、信用金庫、保険会社などでも、財産管理、事務手続きの代行、入院・入所の保証人になるといったサービスを始めています。

ただし、任意後見制度を利用するにはそれなりにお金がかかります。公正証書の作成を司法書士などに依頼すると、実費に加えて10万円程度の報酬が必要。家庭裁判所が選出する任意後見監督人への報酬が月額1万~3万円。さらに後見人を身内や友人ではなく専門家に依頼する場合、月額2万~5万円程度の基本額のほか、お金の引き出し、不動産管理など、その都度費用がかかります。

制度は利用したいけれど金銭面に不安がある場合、自治体で同じような支援制度を設けているところもあります。地域の相談窓口、社会福祉協議会、地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。