一人暮らしと地域コミュニティ
久保 関係ない話しても大丈夫?
一同 もちろん。
久保 一人暮らしで犬を飼っている犬友さんのチームがあるんだけど、そのうちの1人が散歩中に具合悪くなったら、公園で毎朝犬におやつくれる近所のおじさんが車出してくれたんですって。そしたら送ってもらった後に家のトイレで吐いて、めまいがして、立てなくなっちゃって。それで救急車を呼ぶか悩んで、犬をほっておくわけにはいかないから、まだ公園にいる朝の散歩中の犬友さんに電話をかけて、「ちょっと来てほしい」と。それでみんな散歩中の犬ごと駆けつけて、救急車が来るまで一緒にいて、離れて住むご家族が犬を迎えに来るまで近所の犬友さんがいったん預かることになって。本人は1泊の入院で済んだんですけどね。
ヒャダ おおごとじゃなくて良かった。
久保 そのとき、みんなで連携しあってるのを見て、「地域コミュニティって大事だな」と思ったんですよ。地域の連携を試す日、思ってたより早く来た。
ヒャダ この3人の中で久保さんが一番、地域コミュニティ持ってますよ。
久保 うん。持ってるとは思う。
ヒャダ 僕なんて、(ご近所さんを)誰も知らないっすよ。
能町 結局、何が原因だったんですか?
久保 耳石ってわかる? めまい界のニュースター・耳石。私は知らなかったんだけど、 公園に来る高齢者の方はみんな知ってたっぽい。日常的に頭痛やめまいがする人が、検査をしても脳波や血圧に特に異常がないというときは、耳石が原因だったりするんだって。
──名前の通り、石なんですか?
久保 何かの原因でそれが剥がれて、三半規管の中でカラコロしてる感じ。そうなると、もう立てないくらいのめまいが起きるらしい(*)。
*耳石は耳の中にある炭酸カルシウムの結晶。それが剥がれおち、バランスを司る三半規管の中に入ることで、脳に送られるバランス情報に乱れが生じ、めまいが起きる。
能町 怖い怖い。
久保 そんなの、防ぎようがないよね。治療も、めまい止めの薬を飲みながら、よくカラコロして、それを小さくしていくしかないらしい(*)。で、そのカラコロが最も頭にキュイーンってくるのが、急な振り返り。かといって家でじっとしてても石は小さくならないから、運動はしたほうがいい。でも急に振り返るのはだめだという。これ何が困るかって、自転車や車の運転ができなくなるんですよ。
*NHKのサイトでは「耳石くずし体操」というのが紹介されている。そんなのあるんだ。
一同 あーーー。
久保 耳石、これから流行ると思う。いやもう流行ってるんだけど。
──公園の高齢者が全員知ってるくらいですからね。
久保 ひゃっくん、もし家で倒れたら、真っ先に駆けつける予定なのは誰? 立てない。めまいがする。でもまだ意識があって誰かに電話をかけられる、そういうとき。
ヒャダ マネージャー。とりあえず、「仕事飛びそうです」って。
能町 あー、真面目(笑)。私、そこまで行ったら、誰かに連絡する前に救急車呼んじゃう。
ヒャダ ひどい状態だったら、自分もそうしますね。
久保 犬を飼ってると「世話はどうするんだ」ってなるけど、猫なら家にいてもらえば。
能町 3日くらいは一応生きてくれるとは思う。
ヒャダ 猫には強く言ってありますから。「もしも僕が倒れて孤独死したら、僕の肉を食べてね」って。
能町 私も言ってます。「食べてね」って。
ヒャダ 「美味しくはないと思うけど、食べていいからね」。
能町 よく(猫と)2人でしゃべってると、だんだん心中みたいな話になってきちゃうんですよ。「どっちが先に死のう?」「もう一緒に死ぬしかないかもね」って話してます。
久保 りゅうちゃんの(人間に換算した)年齢と私の年齢、いまちょうど一緒なんですよ(*)。それでこの間、「私もりゅうちゃんと同じ年の取り方をする〜」なんてふざけて言ってたんだけど、「(年齢が同じになった)今から、1年で7歳年を取るという進み方はけっこうつらい」ということに気がついて。
*犬の1年は人間の7年に相当するとして計算。
能町 つらいでしょうね。
久保 7倍速。そう思うと、犬の寿命って本当にすごいスピードなんだなと思って。
ヒャダ だいたい4日で1カ月が終わります。
久保 うわー、怖い! 私が今年50歳になるから、りゅうちゃんはもうすぐ56歳。そして次の1年で63歳。次に70歳……。
能町 そこまで細かく計算しなくてもいいよ(笑)。
久保 「怖い怖い!」と思って。でも、そのくらいの気持ちを持って生きていった方がいいのかな。
能町 そう考えると、久保さんが今年50歳で、来年51歳なら、「そんなに年取らないな」と思ってしまいますね。
──そういえば今日、久保さんが「昭和50年生まれです」と言ったとき、貴理子さんが「若い!」と言ってませんでした?
ヒャダ そうでしたね。新鮮でした。「若い」と言われる世界、まだあるんだと思っちゃいました。
