ドキンちゃんは男に人気

アンパンマンは少し優等生なんですね。だから、読む人はどうしても暴れ回っている方に感情移入するというか、好きになってしまう部分が出てきます。いろいろな物語でも、悪人の方がかっこいい、素敵だとウケることがありますね。

古典でいえば『宝島』の中に片目の海賊が出てくる。悪いやつだけど、主人公より人気があります。

『新装版 わたしが正義について語るなら』 (著:やなせたかし/ポプラ新書)

もちろん、アンパンマンのファンは多いですよ。モテるタイプかモテないタイプか、と言えば一般的にモテます。特に小さい子どもはアンパンマンのことが非常に好きです。

女の子はメロンパンナとかロールパンナとかを好きだという話をよく聞きます。

ドキンちゃんは男に人気があるんですよ。手のつけられないワガママで、自分を美人だと思い込んでいる嫌な女でしょう。それが男、特に大きくなった大人の男に人気があるんです。男はみんな慎ましくて従順な女性を好きになるかというと、意外とそうでもないのですね。不思議ですが、そういうふうになっているんです。

最近、アンパンマンが少ししか出てこないで他のキャラクターばかりが活躍する話もあります。ところが、アンパンマンがいないと他のキャラクターが引き立たない。

みなさんがばいきんまんが好きとか、メロンパンナが好き、ドキンちゃんが好きとかいろいろ言うのは、アンパンマンと対比して好きということなのですね。

アンパンマンは太陽みたいな存在でね。みんなあまり気がついてないけど、アンパンマンに対比して他のキャラクターを好きになっているのですね。これはぼくも話を書き始めてから気がついたことだけど、アンパンマンはやっぱり主役で中心なのです。アンパンマンの光を受けて他のキャラクターはみんな生きている。一番光を受けているのはばいきんまんですが、他のキャラクターもみんな受けています。

その点でアンパンマンは非常に重要です。面白いキャラクターはたくさん出てくるんですけど、その時アンパンマンがいないとあまり面白くないのです。