人間らしいものはできるだけ排除
それからもうひとつ言うと、アンパンマンはアニメとしてはひとつの大きな挑戦をしました。普通アニメと言っているのは、動画か漫画映画のことです。
アニメでは、人間よりも動物を動かす方がやさしいと言われています。ディズニーは俳優を使って動画を撮影し、それをアニメ化するという方法をとりました。
人間は人間に演じさせて、背景と動物はアニメにする。それを合成して作った映画が「メアリー・ポピンズ」です。
動物は擬人化してしゃべらせることができます。逆に、人間は漫画化することになります。こうすれば、両者は同じ画面で共演することができるのですね。
動物は動きを誇張することで面白くなります。
アンパンマンをアニメ化する時、ぼくはスタッフに言いました。
「ジャムおじさんとバタコさんは、人間のかたちをしているけれど、妖精のような存在です。その他の学校の先生や子どもたちは、みんな擬人化した動物にしてください。そうでないと、この非現実的な話には、不自然なところが出てきます。アンパンマンという架空のバーチャルランドでのみ成立するわけですから、人間らしいものは、できるだけ排除します」