はるかは「子どもなんて産まなきゃよかった」と涙を流す。
その様子を見た詩穂は、「私もそうでした。赤ちゃんはただただ可愛くて、何の苦労もなく育てられる。そう思っていました。でも、妊娠したらつわりがひどくて、重いおなかが苦しくて。やっと赤ちゃん産んだら、産んだその瞬間から、急にお母さんになることを求められる。育児がこんなに大変だなんて、想像したこともなかった。今までの生活のための家事から、赤ちゃんを生かすための、死なせないための家事になる。それを、今までたった一人でよくここまで頑張りましたよ」と、今までの苦労を慮りながら慰める。
思いを受け止めてくれた詩穂に対して「私は母親失格で。あの子を何度も邪魔だと思った。家に置いて出かけたりもした。もしかしたら死んでたかもしれないのに」と、自分を責めるはるか。
詩穂は「あなたはお母さんです。昨日までがダメだったら、今日からまたやり直せばいい。そうやって私たちも何とかここまでやってきました。いつか笑って話せる日がきます。白山さんの寂しかった日々が、苦しかった日々が、誰かを助ける日がきっとくる。大丈夫です。私たちがいます」と励ました。
はるかの家を後にした2人。帰り道で中谷は「男は外で働き、女は家事をする。日本は長らくそういう時代でした。彼女も時代の『こうあるべき』に囚われていた人なのかもしれませんね」と、はるかの置かれていた状況を振り返る。
「専業主婦もワーキングマザーも独身女性も、そして男性も、それぞれの人生の選択をもとに、それぞれの悩みやつらさを抱えて生きている。佳恋や苺ちゃんが大人になる時には、それぞれがそれぞれの人生を想像して、思いやって自分らしく生きていける世の中になるといいですね。官僚としてそういう世の中を目指します」と、詩穂に宣言した。