「監督、俳優、カメラ、美術、持道具、いろいろな人間の意思が集結して、そのシーンが立体的に作られていくことが面白くて仕方ないんです」(撮影:小林ばく)
2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』では、主人公・朝田のぶの最初の夫となる若松次郎を演じた中島歩さん。その柔らかな物腰や低音の声に注目が集まりました。話題作への出演が続き、順風満帆な役者人生かと思いきや、ここまでの道のりは平坦ではなかったようです。(構成:大内弓子 撮影:小林ばく)

前編よりつづく

連ドラ主演という夢が叶って

芝居については、落語を経験したことで、自分の身体と声を通して表現することがしっくりきたから挑戦したいと思ったわけですけど、実際に始めてみると、自分が楽しいと思えるのはそこではないなと、徐々にわかってきました。

特に演劇をみっちりやったり、映画監督のワークショップに参加したりして、具体的なテクニックや舞台の見せ方、映像の見せ方を勉強してからは、本番の撮影に入る前に決めていく、《段取り》の工程を面白く感じるようになっているんです。

水を飲むならどこでコップを持ってどこに置くかといった細かいことから、アクションのような大きく動くシーンまで、俳優がどう動いて、どこにカメラを構えて、どう見せるのかを決めていく。そこで、一人で台本を読んで想像していたのとはまったく違う画ができていったりするわけです。

それはもう、「えっ、こんなことになるの!?」「こんなこともできちゃうの!?」という驚きの連続で。そこに芝居の素晴らしさを感じるし、うまくいった時はたまらなくうれしい。

監督、俳優、カメラ、美術、持道具、いろいろな人間の意思が集結して、そのシーンが立体的に作られていくことが面白くて仕方ないんです。