東京都千代田区のシェアサイクル「ちよくる」。決済方法はクレジットカードか交通系ICカード、ドコモ払いに限られるが、気軽に自転車を借りられるメリットは大きい(撮影:本社写真部)
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、商品ジャーナリストの北村森さんが、「シェアサイクル」について解説します。

気がつけば街に定着。定額制で“ちょい乗り”できる

サブスクリプション(サブスク)という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。映画や音楽が、定額で見放題、聴き放題といったサービスを指すものですね。市場の動向などはまた改めてお伝えするとして、今回お話ししたいのは、「ああ、これもサブスクだな」というサービスのことなんです。

それは、シェアサイクル。自転車を好きな場所で借りたり返したりできるサービスです。観光地にあるレンタサイクルと異なるのは、街なかで“ちょい乗り”を繰り返せるところ。買い物、あるいは通勤・通学に気軽な形で使えます。そしてもうひとつ、定額制料金を掲げるサービスが多いところです。つまり、これもまたサブスクの一種と言えますね。

たとえば、東京都が支援するサービスでは、都内10区で利用可能、かつ、区をまたいで貸出・返却もできます。貸出と返却ができるポート(拠点)は690以上と結構ある。しかも自転車は電動アシスト機能付きに乗れます。定額制の場合、月に2000円(税別)で、1回30分以内なら何度でも乗り降り自由です。1回の利用で30分を超過した場合には30分ごとに100円(同)。毎日のように利用するなら、自転車を買ったり駐輪場を契約したりするよりも、お得でしょう。

シェアサイクルって、欧州の都市部では以前から定着しているサービスです。わが国でも10年ほど前から各地の自治体が導入を進めていましたが、さほどの人気ではなかった。でもここにきて、環境問題への関心の高まり、移動手段の多様性確保や、放置自転車対策といった街づくりの有効な手立てとして再注目され、ポートの数も増えて、より便利に。

なにより、ちょっとした移動の間に体を動かせるのはいいですよね。