スーパーの魚売り場で見かける「鮭」と「サーモン」。どちらも同じ魚を指しているように思えますが、実は日本ではある理由からしっかりと使い分けられています。今回は、知っているようで知らない「鮭」と「サーモン」の違いについて見ていきましょう。
鮭とサーモンの使い分けは?
2つの言葉の違いを理解する上で、最もわかりやすいのが調理法です。焼き鮭や鮭おにぎりのように火を通さなければならないのが「鮭」、お刺身や寿司ネタのように生食できるのが「サーモン」と使い分けられています。
同じサケ科魚類なのに、なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。その秘密は、魚の育った環境にあります。
鮭を加熱しなければならない理由は、基本的に鮭は自然に生息しているところを捕獲した「天然魚」だから。海に生息する鮭はプランクトンの一種であるオキアミをエサとしています。このオキアミはアニサキスという寄生虫を持っていることがあり、それを通じて鮭にも寄生虫が付着する可能性があるのです。
さらに、稚魚の時期や産卵のために川に遡上する際には、淡水に生息する寄生虫に感染するリスクも存在します。こうした理由から天然の鮭は基本的に生で食べるのに適しておらず、寄生虫のリスクを避けるためには加熱してから食べる必要があります。