最期の会話になるかもしれないと、見舞いに行くと…
101歳を迎えた作家の佐藤愛子さん。100万部突破の『九十歳。何がめでたい』(2016年、小学館)をはじめ、ユーモアエッセイで長く人気を博しています。百寿者とは思えぬ仕事ぶりの一方で、家族からみた佐藤愛子さんの姿とは。孫の杉山桃子さんがコミックとエッセイで描く『婦人公論』の連載「うちのばあさん101歳」。第6回目は「最後の面会…?」。

最後の面会…?

正直なことを言うと、祖母が施設に入居してから私は祖母のもとにはあまり行っていない。

祖母が自宅にいた頃の帰宅願望の強さや、施設に移る際のすったもんだを考えると、「私の顔を見てまた帰りたいと騒ぐのではないか……」と足が遠のく。

母は私よりももう少し頻回に祖母に会いに行っているが、祖母は母を自分の娘として認識できず、ほかの入居者に「私の姉です」と紹介しているそうで、都度訂正していると母が言っていた。

私は認知症の祖母の見当識障害による発言への対応の正解がいまだにわからない。それでも、最期の会話になるかもしれないと、見舞いに行くことにした。