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パスタやパエリアなどの料理に使われる真っ黒な「イカ墨」。濃縮されたようなイカの風味と、鼻に抜ける磯の香りが美味しいですよね。その名の通りイカの墨が使われていますが、ここで少し疑問が。同じ墨を吐く魚介類にはタコがいるのに、なぜ「タコ墨」を使った料理はほとんど無いのでしょうか?

イカ墨とタコ墨の成分上の違いは?

イカ墨に比べてタコ墨はあまり美味しくないのではないかというと、そうではありません。実はイカ墨とタコ墨の成分には大きな差はなく、どちらもタンパク質やセピアメラニン(黒色の色素)、多糖類、脂質などが含まれています。

ではなぜタコ墨があまり料理に使われないのか。理由はいくつかありますが、まずはタコ墨の「粘性」です。タコ墨は粘性が少なく、サラサラとしているため料理に使いにくいというのが1つの理由。

一方イカ墨は多糖類と脂質が多いためドロドロと粘り気があり、料理に絡めやすいといった利点があります。

これは、タコとイカの外敵からの身の守り方の違いが理由。タコが墨を放出するとサラサラの墨が海水に広がり、煙幕のようになって外敵から逃れるのに役立ちます。イカ墨はどろりとしているため、溶け広がらずある程度の形を保持。それを外敵にイカ本体だと勘違いさせ、その隙に逃げます。