「ゼロミート」ハンバーグの味は、デミグラス、チーズインデミグラスの2種類。電子レンジでもボイルでも調理可能で、料理の時短にもなる(写真提供◎大塚食品)
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、マーケティングライターの牛窪恵さんが、「フェイクミート」について解説します。

本物のような食感や味の擬似肉に注目

なにかと不安なニュースも多いが、もうすぐ桜の季節。花を眺めながら食べようとハンバーグ弁当を買うと、そこには「フェイクミート」が使われているかもしれない。その名の通り、肉に似せて作った擬似肉で、原料は主に豆類や玄米などの植物。欧米で大流行し、日本にも少しずつ浸透し始めている。

2019年春、ロッテリアと台湾モスバーガーは大豆による「植物肉」を使ったハンバーガーを発売。健康(低カロリー)に関心の高い女性を中心に話題を呼んだ。

また、「ボンカレー」ブランドで知られる大塚食品は18年秋、やはり大豆を使った肉不使用のレトルト食品「ゼロミート デミグラスタイプハンバーグ」などの販売をスタートした。

一般的なデミグラスソースハンバーグ(約242キロカロリー/個)に比べ、同商品のカロリーは約4分の3(186キロカロリー/個)と低め。にもかかわらず、味や食感は本物の肉と見分けがつかないと評判に。同社はさらにソーセージタイプを投入、今年3月からは業務用ゼロミート(冷凍)の展開を開始するなど、ますます意欲的だ。

なぜ、日本でもフェイクミートが注目され始めたのか。理由は大きく3つある。1つ目は、健康・低カロリー志向の人が増えたから。2つ目は、ここ数年で海外からの旅行客が増え、ベジタリアンメニューが求められていること。

そして3つ目は、肉の「地球環境への影響」を憂慮する風潮だ。牛肉1キロを生産するためには、エサの穀物が約11キロ必要とされる。牛や豚から排出される温室効果ガスも膨大な量。だが、代替肉を利用することで、環境負荷を大幅に削減できる。

これからは、体にも地球にもやさしい「フェイクミート」使用の商品をぜひ!