「久しぶり!」の連絡には用心した方がいい

加えて。「久しぶり!」と、こちらも覚えている前提で連絡をもらう人たちを覚えていない。無理矢理、脳を回転させれば記憶を掘り起こせるかもしれないが、更年期の領域に突入したおばさんの前頭葉はパワー不足。記憶力が欠落しているのだから仕方がない。

27歳で上京して、出版社に勤務をして編集者になって、独立をしてチマチマと働いている。人と会うのが職業の一部であり、自分で刷る名刺の量から察しても毎年100人以上は「初めまして」。これが20年以上続いているうえに、私生活での人間関係もある。そういえば先週末も飲み屋で友人ができた。

フライが載った皿の写真
立ち飲み屋で隣のお客さんが釣ってきた魚をフライにしてくれた。で、みんなで頬張る。これぞ良き関係では

イギリスの人類学者、ロビン・ダンバー氏によると人間が日常的に連絡を取る人物として記憶できるのはたったの約5人。ざっくりと総認識数は約1,500人。もう私の人物認識のキャパシティーを超えているらしい。良かった、衰えていると思い込んでいた私の記憶力はまともだった。

ちなみに私(主に仕事で)、連絡を取るにあたって1年以上スパンが空いたら、自分を覚えていない前提でコンタクトしている。「あ〜、思い出した!」と言われるのも、電話に出た瞬間(あ、これ登録していない電話番号の反応……こちらは登録していたんだが)となるのも寂しいのでね。

続けて。単に私統計ではあるけれど、「久しぶり!」の連絡には用心した方がいい。友人たちから聞いた話に、体験談を加味すると、だいたい良からぬ勧誘か不倫の誘いだ。SNSなどによって人間関係の在り方は千差万別になった。その種類は割愛するけれど、同じ目線の友情は大事にしたほうがいい。学友や同僚でもなく、友達は自分が選んだコミュニティーだ。大事に信頼しながら育む。これが金銭ではない、豊かな老後につながる気がする。