「これでいこう!」と

もともと『賜物』のフルバージョンの歌詞が、のぶ・嵩の人生にリンクしていると感じていたという柳川さん。

「作詞されたRADWIMPSの野田洋次郎さんが、このドラマの内容に関しておそろしい程の時間を費やして考えた結果の『何かの結晶』だと感じていたんです」「最終週のどこかで、フル尺で『賜物』をかける事は出来ないか、と。そうすれば、映像と音楽が思わぬ異化効果のような作用を及ぼすのではないか」「ただ『賜物』は曲のイメージも強いですし、歌詞があるものを、劇中で使うと、セリフとかぶるし、内容を壊してしまう恐れもある。だから、内容優先で、合えばかけるし、合わなければかけない―という選択だなと思っていました」といった感想を覚えていたそうです。

(『あんぱん』/(c)NHK)

そのうえで最終週の編集が一段落した時、桜の下で2人が歩き出すポイントから、4分ある『賜物』のフルバージョンを試しにかけてみたところ、尺がちょうど合い、しかも、ほとんど台詞や芝居を音楽が邪魔する事もなく、むしろ補完してあまりあるくらいの感じになっていたことに気づいたという柳川さん。

これぞ何かからの「賜物」だと思い、編集マンと即座に「これでいこう!」と決断。今回のラストシーンにつながったそうです。