菊地さんの意外な特技
「菊地さん、ベストどちらのブランドのものですか?」
「これ、自分で作ったのよ」
「え」
「作った」
「ウソみたい、すごい!どうやって?」
「メルカリでベスト買ってさ、それを縫い合わせてる」
「ミシンで?」
「手縫い」
まさか、そんな特技がおありだとは。
絵も上手いが裁縫も。
「似合います!」
「そうなのよ、褒められるよ。でもさ、こういうナチュラルな雰囲気の、おぼっちゃまっぽい感じの服、好きじゃないのよ」
「好きじゃないんですか」
「好きじゃない」
「じゃあ、なんで着てるんです?」
「似合うから。いや、前はさ、好きなのに褒められないわけ。なんでだろうと思って。それで、自分に似てる俳優さんとかの着てるものを真似したの、そしたら褒められるようになった」
「似てるっていうのは、顔が似てるということですか?」
「まあ、そうだね、まず顔だね」
「似てる雰囲気の、その俳優さんとかっていうのは、おなじような洋服を着てるわけですか?」
「そうだね」
なるほど。面白い視点。考えたこともなかった。