ドラマ主題歌で開花する、ニューカマーの才能
日本の音楽シーンに、今、大きな世代交代の波が訪れている。あいみょん、Official髭男dism、KingGnuなど、たしかな歌唱力と類まれなる音楽センスを併せ持つ実力派アーティストが、ここ1〜2年で次々とブレイク。それに続くべく、若い世代のシンガーソングライターが続々と登場してきている。そして、ドラマ主題歌の機会が彼らのようなニューカマーへの注目へのきっかけとなっている。今回はこうしたネクストブレイク候補を紹介したい。
まずは2ndアルバム《オリオンブルー》をリリースした女性シンガーソングライター、Uru(ウル)。彼女の魅力は、聴き手をしっとりと包み込む優しさを持った歌声だ。メジャーデビュー前の2013年から自身のYouTubeチャンネルを立ち上げ、中島みゆき〈糸〉やスピッツ〈ロビンソン〉など新旧問わず数々の名曲をカバーした動画を投稿し、世代を超えた反響を得てきた彼女。
いわば“癒やし”の響きを持ったヴォーカリストとして人気を集めてきたわけだが、メジャーデビュー以降は自ら作詞作曲を手掛けるようになりソングライターとしての才能も開花。18年にリリースされた、ドラマ『中学聖日記』(TBS系)主題歌の〈プロローグ〉がじわじわと評価を高め、今年に入ってからもドラマ『テセウスの船』(TBS系)主題歌の〈あなたがいることで〉がヒット。木村拓哉のソロデビューアルバム《Go with the Flow》にも楽曲を提供するなど、幅広い活躍を見せている。
Uru
ソニー 2727円
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昨年3月に《inside you EP》でメジャーデビューを果たした女性シンガーソングライター、milet(ミレイ)も注目の存在だ。彼女の魅力はハスキーで力強く表情豊かな歌声と、壮大でドラマティックな曲調だ。思春期をカナダで過ごし、ビョークやシガー・ロスをルーツに挙げる彼女だけに、海外のポップ・ミュージックの最先端とも通じ合うグローバルな音楽センスも感じさせる。
デビュー曲の〈inside you〉はドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)主題歌で、桑田佳祐が自身のラジオ番組で「2019年邦楽シングル・ベスト20」の1位に選出するなど大きな反響を巻き起こした。6月3日にリリースされる1stフルアルバム《eyes》は、ドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)主題歌の〈us〉、『めざましどようび』(フジテレビ系)テーマソング〈STAY〉など多くのタイアップ曲も収録。爽やかなポップチューンもあるが、ダークでシリアスな楽曲に強い説得力を感じる。
milet
ソニー 2900円
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まだ無名ながら、早耳の音楽ファンを中心に大きな人気を集めているのがVAUNDY(バウンディ)。現在19歳、現役大学生の男性シンガーソングライターだ。昨年に音楽活動を始めYouTubeに投稿したオリジナル曲〈東京フラッシュ〉や〈不可幸力〉が瞬く間に注目を集めた彼の魅力は、癖になる歌声とグルーヴィーな楽曲。ブラック・ミュージックをベースにした洒脱な雰囲気に、ラップと歌を行き来する軽妙な語り口を見せつつ、思春期の切なさも感じさせるメロディを歌い上げる。作詞、作曲、アレンジをすべて自分でこなし、アートワークのデザインや映像も手掛ける、マルチな才能を持ったアーティストだ。
5月27日にリリース予定の1stアルバム《strobo》には、ドラマ『捨ててよ、安達さん。』(テレビ東京系)主題歌の〈Bye by me〉も収録。この先、大きく花開きそうな才能の持ち主である。
VAUNDY
SDR 3300円