ただの戯言じゃ

宴を終え、市のもとへ別れのあいさつにきた勝家。

『柴田勝家-織田軍の「総司令官」』(著:和田裕弘/中公新書)

「もし何かお困りごとがあればいつでもお呼びつけください。この勝家すぐに駆けつけてまいります」と語る勝家に対し、市は言伝を頼みます。

「嘘から出た真じゃ、と小一郎に」「そなたのせいで私は不幸になったと伝えよ」と市が伝えると「おのれ!許せぬ!このことは殿にもお伝えして…!」と憤慨した様子を見せた勝家。

冗談が通じず、興奮する勝家を見た市は「待て待て。ただの戯言(ざれごと)じゃ」といさめます。

慌てふためく勝家を前に「相変わらず武骨なやつじゃな」と呟くと、続けて「でも…長政殿より私に合うてるやもしれぬ」と話した市。

微笑んで「いっそお前と一緒になる方がマシであったな」と伝えると、勝家は「そ、そ…そのようなことをと、と、と…突然言われましても…」とますます挙動不審に。

すると市は「勝家…。戯言じゃ。気を付けて帰れよ」と伝え、深々と頭を下げる勝家の前から去っていくのでした。