マキタ こういう機会だから、懐かしの作品を観返したりしてませんか。僕は最近、『北の国から』を娘と一緒に観てて。
大根 連ドラのほう? やっぱり丸太小屋が焼けるまでが一番いいんだよね。
マキタ 娘が、「バカだねぇ、この人たちは」って言うんですよ。
清水 教育によさそうだ。私は『東京ラブストーリー』を観てたよ。
マキタ 織田裕二・鈴木保奈美版のほう? どうしたんですか、そんな恋愛ものを観るなんて。
清水 前から一度観てみたいとは思ってたんだけど、腰を据えて一気に観る機会がなかなかなくて。
大根 なんか3人とも共通してるなあ。僕は『101回目のプロポーズ』(笑)。めちゃくちゃ面白かった。あれはおすすめです。「浅野温子」が、僕たちの思ってた以上の「浅野温子」なんですよ。モノマネのさらにその先をいってた。(笑)
マキタ 森進一さんも、いろいろな人にモノマネされているのを見ると、「さすがにこんな森進一はいない」って思うんだけど、本物の「おふくろさん」を聴くと、「ああ、まだ誰も本人を追い越してなかった」ってわかるんですよね。
清水 こうしてオンデマンドでいろいろなものが観られるなんて、いい時代がきてるよね。スペイン風邪やペストのときとか、みんなどうやって過ごしてたんだろう。
「逃げ切れるかな?」とはいかなかった
マキタ 昭和生まれの僕たちですが、戦争こそ知らないものの、けっこうなことを体験してきましたよね。
清水 わかる。子どもの頃は家電でもなんでも新しいものがどんどん家にやってきて、大人になったら世界中が幸せになるイメージしかなかったもの。
マキタ バブル期もある意味すごい世界でしたけど、平成に入ると阪神大震災があって、地下鉄サリン事件があって、アメリカ同時多発テロがあって、東日本大震災が起きて。令和を迎えたと思ったらこのコロナ禍で……。
大根 いわゆる平和ボケのノンポリ世代は、このまま何事もなく老後を迎えて「逃げ切れるかな?」と思ってた節があったのに、そうもいかないんだって思い知らされることになりましたよね。
マキタ 経済における大打撃も大きいですけど、自分たちが働く「芸能」の世界が、まさか不要不急の場になるなんて思ってもいなかったですから。
清水 どんな災害が起きても、これまでは「エンターテインメントの力」が合言葉だったのに。
マキタ 僕の場合、単独ライブと、はじめての挑戦だった舞台『母を逃がす』が中止になったんです。
清水 うわー、舞台出演に懸ける練習量を考えると、あのエネルギーがゼロになってしまうって、すごいストレスだろうね。
マキタ そう思った? でも僕、稽古に3回しか出てないところで舞台中止が決まったんで。(笑)
清水 もう、ドラマがないなあ。
マキタ 中止の報を粛々と受け止めましたよ。全体的にこれからっていう稽古序盤だったので、「あんなに稽古したのに!」みたいな思いは出てこなかったですね。
大根 でも、かなり長尺の舞台だったでしょう。セリフは?
マキタ 単独ライブが決行できるかどうかの問題を直前まで抱えてて、数日遅れで参加したんです。でもホン持ってうろうろしてるのは僕だけで、このままじゃまずいと思って頑張って覚えたら、その次の稽古から中止に。そこがまあ、唯一涙が出るとこですかね。