「ピン芸って圧倒的に不自然。ひとりで大多数を相手にしゃべるんだから。」(清水さん)

ピン芸は、人間性を見られている

清水 これまでまったく知られていなかった芸人が、こういう特殊な時期をきっかけに、突然脚光を浴びるケースもありそうだよね。

マキタ それは僕も思いますね。たけしさん、タモリさん、さんまさんのビッグ3、そのあとダウンタウンの天下みたいなお笑いの時代が続いて、もう30年になるんですよ。やすしきよしだって10年くらいだったのに。このままお笑いの治世は安定したままなのかな、と思っていたけど、こういう事態で猛者たちの活躍できる場が限られてくれば、新しい人たちにとっては当然大きなチャンスですよ。

大根 それに加えて、いまは往年の芸人たちが口にしがちなイジリと差別の境目が難しくなってきてますからね。活動の難しさを感じてるんじゃないかな。

マキタ だから彼らの強みだったイジリ芸が安定しなくなってきている。いままで通りにできなくて、軽い失語症みたいな感覚があるでしょうね。そういうレジェンドクラスが炎上するほどの影響力はありませんけど、僕だってこの仕事をしている以上、やりづらさを感じることはありますよ。

大根 清水さんもマキタさんも、こうやってお目にかかっているとすごく常識人じゃないですか。イッセー尾形さんとかもそうなんですけど、ピンで活動されている方にはなにか共通点がありますね。すごく常識人に見えるけど、本当はちょっとおかしい。フツウぶってるっていうか。

清水 そりゃあ、ふたりでやりとりする漫才のほうが自然ですよ。ピン芸って圧倒的に不自然。ひとりで大多数を相手にしゃべるんだから。

大根 だからちょっとイカれてる感じがするんですかね。