清水 でも映画監督も、ピン芸の究極かもしれないですよね。

大根 言われてみればそうか。

マキタ ただ映画監督は、ひとりで大勢の人を動かすわけで、相当なカリスマ性が備わっていないとできない。それは素直にすごいなって思います。

清水 ピン芸って、実はネタよりも人間性を見られてる部分が大きい。……と、かつて言っていたのは確かマキタさんじゃなかった?

マキタ そんなこと言ってました? 私。

清水 はい。(笑)

大根 漫才を競う「M-1グランプリ」に比べると、ピンの「R-1グランプリ」のほうが盛り上がりに欠けるのは、そういうことかもしれませんね。観客は純粋に芸を楽しまずに、無意識に芸人の裏側のほうに気を取られてしまう。

マキタ 漫才の場合、観客と芸人は三角形の関係性ってよく言うんです。でもピン芸は観客と1対1。こっちがボケて、観客にツッコませるっていう関係性で絶対にいなければならないのは、しんどいときもありますね。お客さんに、どこにツッコませるかを考え続けるのはとても孤独な作業なので。ミチコさんみたいに、「野上照代のモノマネをやりたいからやる」モードに入れれば別ですけど。(笑)

清水 私だって、野上さんがウケたほうが嬉しいよ。

マキタ いつでも元の仕事のペースに戻れる準備はしつつも、当面、芸人はYouTuberにならざるをえないかもしれませんね。

大根 ピン芸はコンビ芸よりユーザーとの対面性が強いから、意外とYouTubeは向いてるんじゃないですか。

マキタ ただ、編集を自分でしなくちゃいけないので、それが大変ですよ。大根さんはお手のものでしょうけど。

大根 編集なんて1週間もあれば覚えられますよ。簡単な作業なら、Macの内蔵ソフトで十分間に合いますから。

清水 (野上照代さんのマネで)いまの時代の編集なんて切った貼っただから、誰でもできるわよ。黒澤の時代は違いますからね。

大根 出た……(笑)。彼女は「ミフネ」って、あの当時から呼び捨てにしてたんですかね。

マキタ いやあ、いつの時代も生き残った人間が一番強いですから。