コックスが発売する「ぴたマスク」大人用。カラーはホワイト・ブラック・グレー・ピンク・サックスの5色から選べる。伸縮性に富んだ構造が特徴(写真提供◎コックス)

 

専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、マーケティングライターの牛窪恵さんが、「涼感マスク」について解説します。

ユニクロも参入。夏用マスクが続々登場

新型コロナウイルスの影響で、外出時の「マスク着用」が定番になった。だが季節は初夏。日に日に暑くなり、「口元が汗で蒸れて気持ち悪い」という人も多いだろう。

そんななか、涼しさを感じられる「涼感マスク」が次々と登場し、話題を呼んでいる。

たとえば5月、イオングループのコックスが公式オンラインストアで予約販売を行った「ぴたマスク」。肌に触れた瞬間に冷たく感じられる素材(ポリエステル95%ほか)を使用。3枚セットで1200円(税別)と必ずしも安くはないが、アパレル専門店ならではのファッショナブルなデザインや、UVカット機能、洗って何度でも使用できる点が人気だ。同社は4月に手洗いできる子ども用マスクの販売をスタート。大きな反響が寄せられたため、大人用商品を作ったという。

同月、スポーツメーカーのミズノが公式オンラインショップで発売したのは、水着素材のマスク(マウスカバー)。伸縮性抜群の「2Wayストレッチリコット」は、肌ざわりがさらっとしており心地よいと評判だ。初回販売分2万枚は即日完売。プリントデザインも追加した第2弾の抽選販売を5月末にスタートした。

異業種が相次いでマスク市場に参入するのは、巨大市場だけが理由ではない。消費者や医療従事者への社会貢献活動に繫がり、ブランド価値を向上できれば、との狙いもある。

ユニクロを展開するファーストリテイリングも、いったんは「マスクより服で(社会に)貢献する」と宣言したが、消費者からの強い要望を受けて「エアリズム」(通気性や速乾性に優れた涼感素材)生地を使用したマスクの開発に踏み切り、今夏発売予定だという。新たな涼感マスクで、暑い夏を乗り切りたい。