もものためなら「仕方がない」

ところが、である。生後6ヵ月ほどに成長したももが使う犬用トイレシートとなると、約90×70センチと結構大きい。小さめのレジャーシートくらいのサイズがある。そんなものが、3ヵ所を占拠するのだ。家がぐっと狭くなったように感じられる。なにより、見た目が美しくない。掃除機をかけるときにも邪魔になる。

そのうえ、ももが落ち着いてトイレができるように、周囲にあるモノは靴箱やテレビ台の上、チェストの棚の中などに移動する必要があった。なんだか家の中が急に雑然としたような気がする。でも仕方ない。見て見ぬふりをすることにした。

トイレシートの影響はそれだけではなかった。朝と夕方の1日2回交換するとなると、1日に6枚ものシートを消費することになる。1パック20枚入りのものが4日と持たない。買い置きが必要だ。1パック約2000円と安いものではないので、セールのときに大量に買っておく。

いつか義父母が移ってきたときのために空けておいた2階の8畳の和室に、そのストックを置くことにした。ほかにも、病気で水道水を飲めないももが飲むペット用飲料水のペットボトルやえさなどの買い置きも和室に。そんなことをしていたら、和室は手のつけようがない状態になった。でも、仕方がない。ももと私たちが快適に暮らすための必需品なのだから。

さらには、「秋田犬を飼い始めた」という噂が広まると、犬好きの友人、親戚が家に押しかけるようになった。しかも、珍しい秋田犬のももに、皆さまざまなおもちゃを持ってきてくださる。大喜びして愛嬌を振りまくももに気をよくした客人たちは、次にまた新たなおもちゃを携えてくるので、おもちゃの山ができていった。

せっかく持ってきてくれたものを処分するのは、ももをかわいがってくれている人たちに失礼なのではないか? そう思ったら、捨てるに捨てられない。いつしか、もも専用のおもちゃ箱が3つもリビングに置かれることになった。