「このリビングのどこに、そんなスペースが?」
そして、ある日事件が起きる。客人の一人が5歳の子どもを連れてきたのだ。人懐っこいももは悪気など微塵もなく、突進。遊んでほしくて飛びついたももに、その子が廊下で突き飛ばされてしまい……。その後はすっかり怯えて、もものいるリビングには入ろうともしなかった。
こういう事態が今後再び起こる可能性はゼロではない。最悪の事態を想定して準備をしておくのも、飼い主の義務だ。犬が苦手な親戚がお盆の時期に家へやってくるタイミングで、犬用のケージを用意することにした。
そして今、リビングには120×70×114センチの頑丈な金属製のケージが置かれている。それに加えて、トイレシートにおもちゃ箱3つ、そして、床にはももが遊んだおもちゃが散乱。ももには散らかすだけではなく、片付け方も覚えてほしいところだが、それは無理というもの。家族みんなで拾っては、おもちゃ箱に戻す日々だ。
映画が好きで、DVDを家で見るのが趣味の夫が、ちょっと高価なスピーカーをリビングに置きたいと言い出したときは、「このリビングのどこに、そんなスペースがあるの?」と、即刻却下した。でも、夫が文句を言うことはない。
それどころか、「おもしろいおもちゃを見つけた」と、もものおもちゃを買ってくる。子どもたちも同様だ。「これじゃあ、おもちゃ箱をもう1つ増やさなきゃいけないじゃない。これ以上家をごちゃごちゃにしないで!」と口では怒ってみるものの、心の中では「かわいいから、仕方がないのよね」と、うれしそうなももを見て、思っている。
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