百人いれば百通りのお葬式
若いスタッフが中心の同社の社是は「百人いれば百通りのお葬式がある」。祭壇代わりにシルクスクリーンを用いるようになったのは3年ほど前からだ。思い出のコーナーのパネル作りから発展したものだが、遺族は「どの写真がいいか」と故人との思い出を振り返りつつ、かなしみを一時忘れることができる。長谷川さんは「アルバムを見返すところから、ご家族にとっては宝探しのような時間になっていく」という。
「あの場所が好きだったけれど、写真がない。どうしても、となったら、その写真を持っていないか、チャットで全社員に聞くというのはふつうにやっていますし、反応も早いです」
同社ではスタンダードになりつつあるプランだが、「やってもいいのかなぁ?」と戸惑われることも多く、従来どおりの祭壇を設営する葬儀も行っている。
ちなみにスクリーン1枚は5万円。要する枚数にもよるが、祭壇料金と比較してみても割安だ。いまは同社オリジナルだが、遠からず真似る同業他社が増えるだろう。しかし、特許の申請などはまったく考えていないという。なぜ?
「お葬式は本来、亡くなった人を想う時間。その時間を大切にする。そういうふうに業界自体を変えていきたいというのが社長の考え方なので」
清々しいくらいの笑顔でウェルカムの答えが返ってきた。