株の勉強を通して、生活のムダも見直せた
前回の失敗を徹底分析した結果、知識、資金、メンタルのすべてにおいて、準備が整っていなかったことが原因と言わざるをえなかった。一日も早く投資したい気持ちを抑え、その3つをきちんと揃えてから始めるべきと自分に言い聞かせた。
「無料セミナーに行くと、多くの専門家が、『投資をするにあたって、現金で100万円持っていれば、冷静沈着に対処できる』と言うんです。でも私には、その100万円がない。貯金が急務と思い、投資の入門書以外に貯蓄と節約の本も熟読。100万円を目指し、お金を貯め始めました」
まず、洋服の衝動買いをストップ。韓国に行くほどハマっていたK−POPスターの追っかけは封印し、ランチは手作り弁当に切り替えた。
「株の勉強を通して、生活のムダも見直せました。それに、投資の本に『労働力は資産だ』と書かれているのを読んで、趣味のお金を稼ぐため、と軽い気持ちで働いていた心を入れ替えました。登用試験を受け、非正規雇用から正社員になって」
そして2016年6月、2年で100万円を貯めた弥生さんは、いよいよ株の道へと突き進む。「分散投資が大切」と学んだとおり、国内株は優待を目当てに〈イオン〉と〈すかいらーく〉を80万円、〈アマゾン〉などの米国株を6社25万円、積立型投資信託5万円と、貯金と合わせて110万円分購入。配分も自分で決めた。
「米国株は、最低口数が決まっている日本株と違って、1株から購入可能で安い。日本は少子高齢化で市場が先細りする可能性もあるので、外国株も買っておこうと思って。分散して持っていても株価が下がることはあるけれど、昔ほどびくびくしません(笑)。また上がるときがくると思えるから。知識という裏打ちができて、気持ちも強くなりました」
そしてこの1年半で、140万円もの評価益を出し、資産の総額は240万円にまで増えているという。そんな弥生さんの株生活は、出勤して朝9時に前日の終値をチェックすることから始まる。そしてランチタイムと3時にまた、その日の株価を確認するのが日課だ。
「財務の仕事をしていることもあって、エクセルで計算や表を作るのが大好きなんです。夜眠る前に、『60歳までに1000万円』の目標を達成するための投資の計画表を作成し、資産の増減をグラフ化する作業に勤しんでいます。誰かに見せるためというよりは、自分の気持ちを上げるため(笑)。それから、大きな利益を出している投資家のブログを見て、購入している銘柄を分析することも欠かしません。分析と試算を繰り返すのが、とにかく楽しい。お金が増えていくさまが数字で見えると燃えるんです、私」
頭の中の3割は、常に株のことで占められていると弥生さんは笑う。