やがて地道な勉強の成果が少しずつ表れてくる。購入した株の一部を売って得たお金で別の株を……と繰り返し、2年後には1年で16万円を得るまでに。そして順調に増やし、昨年は30万円ほど儲けたそうだ。

「夫も、『すごく頑張っているね』と褒めてくれる。鼻高々です(笑)」

優子さんの夢は、夫婦ふたり分の老人ホームの入居金と諸費用の2000万円を、投資の利益で捻出することだ。

「私が投資を始めて少し経ったころ、両親に介護が必要になったんです。幸い、両親は貯めていたお金で施設に入りましたが、私が世話をすることになっていたら、大変だったと思います。介護に手一杯で投資どころではなかったでしょう」

現金1000万円を頭金にして、ローンで家を購入した優子さん一家の現在の貯金は数百万円。介護で息子に迷惑をかけないよう、株で資産を増やしていくつもりだという。

 

急がないと老後に間に合わない

優子さんと同様、3年半前、認知症の母親が施設に入ったのを機に、老後資金について真剣に考え始めたという弥生さん。(50歳・会社員)

「1000万円は貯金がないと、みじめな老後になるのでは?と不安になって。32歳で結婚して以来、夫婦の財布は別。しっかり者の夫に貯金はまかせ、子どもがおらず教育費がかからないのをいいことに、長年にわたって、給料の大半を自由に使ってきました。その行く末がみじめな老後だなんて……」

そこで一念発起して、60歳までになんとしても1000万円貯める決意をした。ところが、当時の弥生さんの貯金はわずか数十万円。

「一気に増やさないと、老後に間に合わない!と焦ったとき、脳裏に浮かんだのが株でした」

しかし株式投資は、以前、知人に誘われて挑戦したものの、すぐやめた経験がある。30代の頃に、なけなしの70万円を某社に投資したら、すぐに株価が下がってしまい、不安で動悸が治まらなくなった。

「その後回復し、5万円プラスになったタイミングで売却。でも、最終的には10倍近くまで値が跳ね上がって……。もうちょっと待てばよかったと後悔しました。株価の上がり下がりと一緒に気持ちまで上がったり下がったりするのは、とても疲れます。だから、『二度とやらない!』とそのときは思ったのですけどね。でも背に腹は代えられない。投資は一般的に、お金に余裕がある人がするものと思われています。でも、お金がないからこそ、投資をするしかなかった」