がんで余裕をなくし、アドバイスも耳に入らず
青木 小倉さんも番組やインタビューでご自身のがんの話をしていらっしゃいますね。
小倉 僕の場合は膀胱がんで2018年に全摘手術を受けたの。青木さんは肺腺がんだったんだ?
青木 そうです、私は17年、43歳の時です。私はその時、ショックで余裕がなくなってしまって、誰のアドバイスも耳に入らなくなってしまいました。小倉さんはどんなふうに感じられましたか?
小倉 僕は意外に平気でした。なんでも調べるのが好きなんで、本もたくさん読んで。でも膀胱がんって研究があまり進んでないんだ。
青木 治療は大変だったのですか?
小倉 浸潤がんだったので、すぐに膀胱を全摘することを勧められた。でもね、そうすると男性機能も失われてしまうの。まだ〈男としての未練〉があって、膀胱を摘出しない治療法を選んだんだよね。でも2年後に新たにポリープができて、それが大出血を起こして病院に駆けこんだの。そこは松田優作さんの膀胱がんを診た病院だったんだけど、「当時の松田優作さんより進行してます」って言われて、結局手術を受けました。
青木 膀胱を全摘するとどうなるんですか?
小倉 体外にストーマ(人工膀胱)をつけるやり方と、体内に小腸で代用の膀胱を作る方法があり、僕は代用膀胱を選択した。手術しても見た目が変わらないから、大浴場とかみんなと一緒に入りやすいじゃない? でも体内に作った代用の膀胱には尿意がないから、失敗もする。これが大変なのよ。