医療保険、薬局──医療費負担を抑える心得

2022年は、団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをする年。今後ますます増加する医療費への対策の一つとして、一定以上の所得がある75歳以上の医療費の自己負担割合が1割から2割になります。

対象となるのは、単身世帯で年収200万円以上、夫婦ともに75歳以上だと年収合計が320万円以上の人などで、後期高齢者の約20%にあたる約370万人とされます。「1割負担が2割になれば倍増ではないか」と心配になるかもしれませんが、緩和措置もあって単純に倍になることはありません。

また公的保険には高額療養費制度があって、収入や年齢に応じて医療費の毎月の自己負担額に上限が設けられています。2割負担の対象になる人だと、上限額は月5万7600円。夫婦とも75歳以上なら、夫婦の医療費を合算した上での上限がやはり月5万7600円と、さほど高額にはならない仕組みになっています。

つまり夫婦で月に6万円程度を支払っていけるだけの貯金があれば、医療費の備えとしてはなんとかなるはず。家計を圧迫するほどの高い保険料を払って、民間の医療保険に入り続ける必要もないと思います。

医療費としてはほかに、大きな病院にかかる場合、紹介状を持たずに行くと、5000円以上の「特別料金」が加算されます。自分の健康状態を継続的に診てもらうためにも、信頼できるかかりつけ医を持っておくといいでしょう。

深夜や休日など診療時間外に医療機関を受診すると「時間外加算」で医療費が割り増しされるので、病院ごとの診療時間を調べておくことも大切です。

薬局で薬を処方してもらう場合、おくすり手帳を持参すると「薬剤服用歴管理指導料」が少しだけ安くなります。また「調剤基本料」は、院内薬局がいちばん安く、次に病院近くにある門前薬局、街なかにある一般の調剤薬局と、病院から遠くなるほど高くなります。また生活習慣病などで長く服用する薬は、ジェネリックにしてもらうのも賢い節約になるでしょう。