PARCOプロデュース2019
人形の家 Part2

8月9日~9月1日/東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
作/ルーカス・ナス 翻訳/常田景子 演出/栗山民也
出演/永作博美、山崎一、那須凜、梅沢昌代
☎03・3477・5858(パルコステージ)
※北九州、富山、京都、宮崎、豊橋、仙台公演あり

舞台は『人形の家』の15年後。
自立したノラが再び出す結論とは

因習の家から去って15年、ノラが突然帰ってきた――。乳母アンネ・マリーがノックされたドアを開けると、そこにはすべてを置き去りにして姿を消したはずのノラの顔が。アンネ・マリーは帰還を喜び、夫トルヴァルとの和解を勧めるが、ノラは拒否。そこにトルヴァルが帰宅し、ノラと再会するが……。

ノルウェーの世界的劇作家イプセンの代表作『人形の家』(1879年初演)は、かわいらしい人形として夫の庇護のもとで生きてきたノラが自立にめざめ、夫も子どもも捨てて家を出て行く物語。その結末が社会に衝撃を与えた近代古典の名作だ。「女性の自立」「フェミニズムの先駆け」としての評価も高く、140年にわたって世界中で上演されてきた。

本作は、アメリカの新進気鋭の劇作家ルーカス・ナスが、『人形の家』の続編という形で現代に提示した作品だ。2017年にブロードウェイで初演されて反響を呼び、同年のトニー賞で8部門にノミネート。ノラを演じたローリー・メトカーフは最優秀主演女優賞を受賞した。その意欲作が、栗山民也の演出で日本初上演される。

15年の間に一体何があったのか、そしてノラが帰ってきた目的は? 登場人物はノラ、夫トルヴァル、娘エミー、乳母アンネ・マリーの4人。ノラとアンネ・マリー、ノラとトルヴァル、ノラとエミー……というように、二人芝居が連続する5場構成で進行する。舞台が進むにつれて見えてくるのは、互いの思惑と本音。そしてノラは、再び結論を出す。

今回、演出の栗山民也がノラ役に指名したのは、永作博美。栗山演出の『頭痛肩こり樋口一葉』以来、3年ぶりの舞台出演に挑む。夫トルヴァルには精力的に活動を続ける山崎一、乳母アンネ・マリーには存在感抜群の梅沢昌代、そして娘のエミーには青年座公演『砂塵のニケ』でのヒロイン役が鮮烈だった若手女優、那須凜が抜擢された。

はたしてノラはそのまま家に残るのか、それともまた出て行くのか。サスペンスに満ちた台詞の応酬が、『人形の家』を知っている人も知らない人も引き込んでしまうはずだ。

 

 

新国立劇場公演
骨と十字架

7月11~28日/東京・新国立劇場 小劇場
作/野木萌葱 演出/小川絵梨子
出演/神農直隆、小林隆、伊達暁、佐藤祐基、近藤芳正
☎03・5352・9999(新国立劇場ボックスオフィス)

劇団「パラドックス定数」を主宰する野木萌葱(もえぎ)は、史実や実際の事件を取り上げる新世代の社会派劇作家で、代表作は『東京裁判』と『三億円事件』。濃密な人間関係から紡ぎだされる緊張感あふれる会話劇は、エンタメとしても十分楽しく、注目を集めている。その野木の新作が新国立劇場に初めて登場する。主人公は、実在した古生物学者で神父のピエール・テイヤール・ド・シャルダン。進化論を否定するキリスト教の立場にありながら、北京原人を発見し世界の注目を浴びた人物だ。進化の道をたどることは神に反するのか……。相反する価値観の狭間で、信じる道を探る男の姿を描く。

 

 

 

 

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
ビビを見た!

7月4~15日/神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
原作/大海赫 上演台本・演出/松井周
出演/岡山天音、石橋静河、樹里咲穂、久ヶ沢徹、瑛蓮、師岡広明ほか
☎0570・015・415(チケットかながわ)

盲目の少年ホタルは「おもしろいものを見せてやろう」という声を聞き、7時間だけ目が見えるようになる。しかし代わりに、母も愛猫も、ホタル以外はすべて光を失ってしまう。町は正体不明の巨人に襲われ、母と乗り込んだ列車で、ホタルは破れた羽を持つ緑色の少女ビビと出会い……。「幻の童話作家」と呼ばれる大海赫(おおうみあかし)の怖くて美しい絵本を、鬼才・松井周が舞台化。ホタルは岡山天あま音ね、ビビは石橋静河と注目の若手が演じる。ホタルが見たのは「人間の絶滅や地球の終末を思わせる」世界だ。そして再び闇に戻るまでの残り数十秒、ホタルは「世界で一番きれいなもの」を見る。