2021年10月23日の入賞者ガラコンサートで「マズルカ風ロンド」を演奏した反田さん【(C) W. Grzędzinśki / The Fryderyk Chopin Institute】
ピアニストの反田恭平さんが、3月10日放送の『徹子の部屋』に出演します。クラシック界最高峰のコンクールの一つ、ショパン・コンクールで2021年に日本人最高位に輝いた反田さんの素顔とは――。『婦人公論』2021年12月28日・1月4日合併特大号に掲載された高坂はる香さんによるルポルタージュから一部抜粋して再配信します。


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クラシック界最高峰のコンクールの一つ、ショパン・コンクール。2021年10月18日から20日(ワルシャワ現地時間)にかけて行われたファイナル(本選)では、反田恭平さんが2位、小林愛実さんが4位に入賞した。現地で全日程を取材した音楽ジャーナリストが、個性豊かなコンテスタント(コンクール参加者)たちのエピソードを明かす

音楽とは関係のない家庭環境に生まれ

2021年10月、第18回ショパン国際ピアノコンクールは、新型コロナの影響による1年の延期を経て開催された。今回は、1970年の内田光子さん以来、51年ぶりの日本人最高位タイである第2位に反田(そりた)恭平さん、第4位に小林愛実(あいみ)さんと、日本人がダブル入賞。

そのほかにも、すでに人気ピアニストとして活躍する牛田智大(ともはる)さんをはじめ、優れた日本人参加者が多く、国内での注目度はこれまで以上に高いものに。今回は延期により準備期間が長かったこともあり、全体的にハイレベルで、個性を極めた演奏を多く聴くことができた。

反田恭平さんは、父は会社員、母は専業主婦という、音楽とは関係のない家庭環境に生まれた。しかし音楽の才能に気づいた母の計らいで、桐朋学園大学音楽学部附属子供のための音楽教室仙川教室でピアノを習い始める。やがて音楽の道を志すが、音楽高校や音楽大学への進学に反対する父親から、「コンクールで1位を取らなければ認めない」と言われ、都度その難題をクリアしてきた。

そして(共学の高校である)桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学を経て、モスクワ音楽院に留学。4年前からはワルシャワのショパン国立音楽大学で、審査員の一人でもあるポーランド人ピアニストのピオトル・パレチニさんのもと、研鑽を積んだ。

反田さんは、コンクール以前から音楽業界の注目を集めていた。それは、20代半ばの若さにして自ら録音レーベルを立ち上げたり、仲間たちとオーケストラを結成し株式会社を設立したりと、演奏活動以外でも音楽業界の活性化に努めてきたことによる。