『俺は主夫。職業、現役Jリーガー』(大久保嘉人:著/講談社)

莉瑛 選手の皆さんからはブーイングがあったんでしょ。(笑)

嘉人 一応僕は、Jリーグで得点王も獲ったベテランストライカー。その僕が家事や洗濯、そして息子の学校のこともやったりしている。それを知った他の選手の奥さんたちに、「大久保さんがこれだけやっているんだから、あなたにだってできるでしょ」と文句を言われる、って。

莉瑛 ピカチュウのキャラ弁は私から見ても見事だった。橙利が学校で弁当を食べることになって、何を作ればいい? と相談されたので、ピカチュウを提案したんだけど。

嘉人 ネットでピカチュウを検索し、朝6時に起きてイメージ通りに作ってみた。我ながらいい出来だと思ったのに、学校で弁当のフタを開けたらぐしゃぐしゃになっていたらしい。

莉瑛 完成したものを写真に撮っておいてよかったね。家では九州男児そのもので、テレビのリモコンさえ取らない人だったから、毎日早起きして朝食を作り、学校に送り出す姿に驚きました。やればできるじゃん、って。(笑)

お手製の「ピカチュウ弁当」(大久保嘉人さんのInstagramより)

嘉人 だって僕が飯を食わせなければ、橙利は死んじゃうでしょ。僕は自分が食べたいものより子どもが好きなものを作ってた。YouTubeで料理動画を見ながら。できるだけ同じメニューも作らないようにしていたし。もう煮魚なんかうまいもんよ。でも暮らし始めは鍋のフタもなくて、目玉焼きを作るのに手でフライパンにフタをしたら、めちゃくちゃ熱かった。

莉瑛 そりゃそうでしょ!