子育て後から続く夫婦の長い人生
健介 最近は、時間を見つけては家を片付けてるね。
北斗 片付けるにも体力がいるのよ。だから、動けるうちにやらないと。外に着ていったらおかしいと思われるんじゃないかっていう洋服を、「いつか着るかも」と手放せないでいるんだから。さすがにまずいだろう、と。
健介 写真もずいぶん整理したし、電気製品もいろいろ処分した。
北斗 人生ってうまくできてるよね。若い頃は、ブランドバッグでも靴でもほしくてたまらなかったけど買えなかった。今は買おうと思えば買えるけど、全然ほしくない。ものを買わなくなったもんなー。
健介 本当にそうだよ、食べ物も、霜降り肉は胃袋が受け付けない。大トロは、うまそうだけどちょっと重くて、オーダーするときに「中トロにしておこう」と思い直す。
北斗 きっと年齢を重ねるにつれて、体も変わり、食費が自然に減り、生活も縮小していくんだろうね。
健介 無理なくね。うまくできているなあ。お墓も、埼玉に引っ越してきたときに買ったしね。
北斗 「別荘でも買うか」ってな。(笑)
健介 しかし、人間、やっぱり墓がほしくなっちゃうんだよなあ。
北斗 ホントにね。あ、ひとつ言っておこう。今はうちら大きいワゴン車に乗っているけど、これで最後ですから。
健介 え? 最後ですか。
北斗 うん、デカい車は最後。あの車がぶっ壊れたら、次は軽自動車。
健介 え? 軽ですか。
北斗 これからは、そういうふうに考えなくちゃいけないでしょう。
健介 でも、軽に僕たち二人、乗れるかなあ。
北斗 狭いか。いや、痩せるんだよ、二人で痩せる!
健介 はあー。まあ、密着感があっていいかもしれないね。(笑)