つい言いがちな「頑張れ」の掛け声
清水 はるかちゃんは、誰も笑わないところでネタやったことってある?
箕輪 あります。一番強烈だったのはやっぱり営業で、どこかの企業の会合の賑やかしに、よしもとの芸人が3、4組呼ばれて……。
尾崎 それは、いわゆるちゃんとした「営業」ですよね?(笑)
箕輪 そうです、そうです、安心してください(笑)。ただ、皆さんお酒が入ってて、やっぱり仲間同士で話をしたいじゃないですか。「お前ら邪魔!」という雰囲気でぜんぜん聞いてくれないうえに、「面白くねえよ!」って野次も飛んできて。
清水 そういうときは、コンビでまだよかったと思うよね。
箕輪 そうですね。でもそういう状況でも、先輩のライセンスさんなんかは、無理にネタを聞かせるのではなく、お客さんに質問を投げかけながら交流していて、かっこいいなあ、と思いました。清水さんはピンじゃないですか。ステージで動揺したりしますか?
清水 つい最近あった。ゴールデンウィークに日比谷野外音楽堂で「忌野清志郎ロックン・ロール・ショー」っていう催しがあって。出演者でそれぞれ違う曲を歌わなければいけないから、自分としてはあまり自信がない、陽水さんとのデュエット曲をやったのね。
尾崎 「帰れない二人」ですね。
清水 そう! よく知ってるね。で、陽水さんのパートはウケたんだけど、清志郎さんのところになったら、誰かが笑いながら「似てねえぞ!」って。ネット記事に「ジョークを込めたおホメの掛け声が上がる」と書かれてたけど、ステージ上の私は、おホメどころかひとかけらの愛も感じなかったよ……。(笑)
尾崎 愛はないですよ、そんな野次に。(笑)
清水 一瞬ヘコんだけど、そういうときって、もう続けるしかないんだよね。かと思うと、小学校低学年くらいの子に絡まれ続けたこともある。私が何か言うたびに「だから?」って返してくるわけ。しまいにはにっこり笑いながら「しつこいですよ」って言ったんだけど、やめない。(笑)
箕輪 私たちなんて、ステージに出て「どうも」って挨拶した瞬間、前のほうにいた子どもに「ギャー」って泣かれたことあります。まるで、なまはげ(笑)。「ごめんね、トラウマにならないでね」って。
尾崎 笑いに変えるしかないですよね。
清水 そうなんだよ。子どもはストレートだからねえ。そういえば、時々アメリカから帰ってくる野沢直子は、聞いてないお客さんを叱りつけたらしいよ。「聞け!」って。
尾崎 それはすごいです。
清水 長生きするよね、彼女は(笑)。尾崎さんは、さすがに野次が飛んできたりはしないでしょう。
尾崎 しますよ! 一番イヤなのが、「頑張れー」ですね。
箕輪 なにかと言いがちかもしれませんね。「頑張れ」って。
清水 言っている本人に悪気はないから困る。
尾崎 ちょっとMCで噛んだりすると、「頑張れー」と声がかかるんです。言われなくてもこっちは必死でやってるんだよ、と思ってしまうし、あの一言でびっくりするぐらいテンションが下がりますね。
清水 ミュージシャンも芸人も、いくら大きいステージに立っていても、けっこう観客の声が聞こえちゃうってのはわかってほしいかもね。
尾崎 かといって、「力抜けよ!」という掛け声も腹が立ちますけどね。(笑)
清水 人からどう見られるかなんて、気にしない大物になりたいもんですけど。ここははるかちゃんにならって、いつもどこかよその国って思ってればいいのかもね。いざとなったら、「困ったよ」ってポーズで切り抜けて。(笑)