中国への技術流出の恐れ

「中国の半導体国内自給率は20%を切っており、最先端のものも作れない。半導体は中国の一番のアキレス腱だ。特に日本の強みである半導体製造装置と半導体部材の技術はノドから手が出るほど欲しがっている」「中国が半導体技術を日本から取る方法は二つ。一つは合弁企業を作って、技術を移転させる方法だ。もう一つは、円安の状況に乗じて、基幹部品を作っている中堅企業を買収してしまうことだ」=細川氏

飯塚半導体をめぐる経済安保のもう一つの課題は、中国への技術流出の防止です。とりわけ高度な半導体技術は軍事に直結しています。ロシアのウクライナ侵攻でも明らかになったように、半導体は、兵器はもちろん指揮命令系統すべてのシステムの維持にも不可欠。技術流出は中国の軍備増強を後押しし、日本の安全保障を劣勢に陥れることにつながってしまう。

半導体「技術流出」日本のリスク©️日本テレビ

吉田細川氏が指摘したように、日本は半導体製造装置や半導体部材の技術ではなお世界屈指のレベルにあり、中国はそれを虎視眈々と狙っている。実は他のハイテク分野でも日本は合弁企業を通じて技術を流出させる過ちを重ねてきました。そうした歴史を繰り返してはなりません。

「5月に開かれた日米首脳会談の共同声明では、『半導体の技術流出防止に日米共同で取り組む』という記述があった。注目すべきポイントだ」「今年の『骨太の方針』には(海外からの)投資審査の管理、輸出管理の強化が盛り込まれた。これを今後いかに具体化していくかが重要だ」=細川氏

「バイデン米大統領が5月に訪韓した際、最初にサムスン電子の半導体工場を視察したのは米国の『国防』のためといえる。サムスンは中国・西安に工場を持っているが、『技術が流出するような工場は作ってくれるな』ということなのだろう」=真壁氏

飯塚「骨太の方針」に経済安保を重視する記述が盛り込まれたのは前進です。ただ、投資審査の対象となる「指定業種」の中には、いまだに半導体製造装置が入っていない。経済界にも様々な利害関係があるのかもしれませんが、国の安全保障のためには抜け道のない規制策が早急に必要です。

「経済安全保障」どう強化?©️日本テレビ

吉田この問題についてはバイデン大統領も危機感を抱いているようです。日本としては、米欧と連携して技術流出を防ぐ強固な対中包囲網を作り上げねばなりません。経済安全保障の取り組みが進んできたことは評価したいのですが、付け加えるならば、産業スパイやハッカーの動きにも注意が必要です。警察庁や法務省なども加わって、オールジャパンで対策を考えていく必要があるでしょう。

バイデン大統領「サムスン」視察狙い©️日本テレビ