概要
旬なニュースの当事者を招き、その核心に迫るBS日テレの報道番組「深層NEWS」。(月〜金曜 午後10時から生放送)読売新聞のベテラン記者で、コメンテーターを務める飯塚恵子編集委員と、元キャスターの吉田清久編集委員が、番組では伝えきれなかったニュースの深層に迫る。
様々な工業製品に欠かせないことから「産業のコメ」と呼ばれ、今では経済安全保障の観点から重要な産品となっているのが半導体。各国が半導体の確保や先端技術開発に取り組む中で、わが国が心すべきことは何か。多摩大の真壁昭夫特別招聘教授、経済産業省出身で明星大の細川昌彦教授をゲストに迎えた6月16日の放送を踏まえて、編集委員2氏が語り合った。
経済安保鍵握る半導体
サプライチェーンに弱み
「半導体は、自動車はもちろんエアコンなどにも使われるようになり、需要が急増していた。そこにコロナ禍による物流のボトルネックが加わり、現在は両者のかけ算で供給不足になっている。この状況は来年いっぱい続くのではないか」=真壁氏
「家電用などの半導体は、スマホなどに使う最先端のものと違い、メーカーからすれば儲からない。そのため生産や設備投資が後回しになってしまう。半導体不足の解消は業界ごとにまだら模様になるだろう」=細川氏
吉田国内ではこの夏、記録的な猛暑が続いています。こんな時に頼りになるのがエアコンですが、国内では品不足が指摘されました。その理由の一つが、製品に使う半導体が世界的に不足してしまったことです。かつては世界に冠たる半導体生産能力を持っていた日本も、今では台湾や韓国の後塵を拝しており、この状況に対応できなかった。需要に対応するため国内に生産拠点を作っていけるかどうかが大きな懸念となっています。
飯塚半導体のサプライチェーン確保は、日本の経済安保にとって喫緊の課題です。政府は昨秋、半導体の受託生産で世界トップの台湾積体電路製造(TSMC)の誘致に成功し、熊本県に建設される新工場に最大4760億円の補助を決めました。6月末には、TSMCの最先端の技術開発拠点が茨城県つくば市に開所した。TSMCとの協力で次世代半導体の製造開発技術の底上げを目指しているわけで、こうした国際連携の動きは朗報です。ただ、先方はビジネスとしての損得も冷徹に計算している。市場変動で安易に撤退しないこと、さらには日本国内への優先供給など、政府はTSMCに明確に求めるべきです。