女性の靴選びに自由を! ネット発の運動
2019年1月、ツイッター上のつぶやきから始まった「#KuToo」運動。性被害やセクハラを告発する「#MeToo」運動と、「靴(くつ)」「苦痛(くつう)」を掛け合わせた造語だ。
最初の発信者とされる女優・石川優実さんは、アルバイト先で5〜7センチのヒール靴を履くよう求められ、足の痛みに苦しんでいたという。そこで「女性が職場で、強制的にハイヒールやパンプスを履かされずに済む社会が来ればいい」との思いをツイートすると、瞬く間に共感が広がる。6月には石川さんみずからが厚生労働省に約1万9000人の署名を届け、「企業が女性にパンプスを履くよう強制することを禁止してほしい」と訴えたのだ。
実はイギリスでも15年に似た動きがあり、下院議会が実態調査に乗り出した。17年には報告書を一般公開するまでに発展したという。日本でも、いまや働き方改革や「女性活躍」が叫ばれ、女性が外回りや重労働の現場に駆り出されるケースも増えた。ハイヒールを苦痛だと感じ、「強制されたくない」「解放されたい」と訴えるのは、当然の主張だと言えよう。
ヒールに抵抗をおぼえるのは、「就活」に臨む学生も同じ……。そう考えたジョンソン・エンド・ジョンソンは、19年3月から「#スニ活」キャンペーンに乗り出した。企業や学生に「就活で履く靴は、スニーカーなど快適な靴にしませんか?」と呼びかけ、同社の絆創膏ブランド「バンドエイド®」の公式ツイッターでも賛同者を募集。「会社訪問にスニーカー?」と驚く人も多いだろうが、ハードな就活中の若者からは共感を集めている。
もっとも、「○○が当たり前」とプレッシャーを受けるのは、女性だけではない。今後は男性から、「ネクタイは(首元が)苦痛」を意味する「#NeckToo」運動が起こるかもしれない。