「ローンウルフ型」の犯罪
「日本におけるローンウルフ型の犯罪には、外国とは違って思想性があるわけではない。『生活が立ち行かない』『仕事がうまくいかない』といったことで自暴自棄になって犯行に及ぶのが特徴だ」=福田氏
「ローンウルフ型テロリストには孤立感がある。そこには社会的な問題というものが一つあるような感じがしている」=米村氏
吉田世界では近年、単独犯が無差別テロを行うようなローンウルフ型の犯罪が多発しており、日本でも2008年の秋葉原通り魔事件など同種の事件がしばしば起きた。今回の事件の犯人も、社会から孤立し、世の中を恨み憎んでいたという点では、過去の無差別大量殺人事件のローンウルフと通底するところがあるような気がします。
飯塚ローンウルフ型の犯人の多くは家庭内暴力や虐待を経験するなどしてメンタル面で問題を抱えていた、という海外の研究があります。家庭や地域などに頼れず、孤立した人を社会にどうつなぎとめるか。巨視的に見れば、今回の事件ではそのような問題も問われているのでしょう。
吉田同感です。疎外された孤独な人に社会との絆を取り戻してもらうというのは簡単なことではないでしょう。しかし、同種の犯罪を防ぐためには、最終的には社会の分断や格差を解消することが必要なのかもしれません。
飯塚もちろん、仮に酌むべき事情があったとしても自暴自棄になって暴力に訴えることは絶対許されません。政治や社会に大きな問題があってそれを正したいのであれば、最終的には選挙を通じて意思を示し、さらには自ら立候補して「世直し」を図るというのが民主主義社会のルールです。現実には迂遠で困難な道かもしれません。しかし、どんなに苦しくてもそうやって「世直し」を目指すことこそが大事なのだと私はあえて言いたいですね。