イメージ(写真提供:photo AC)
もし生活費が尽きたらどうするのか。親の死後は誰が世話をするのか――。50代、60代のきょうだいが悩みのタネという家族に、いま抱えている不安について聞いた

未婚の姉のために親が画策していたこと

「昔から姉は不思議な存在でした」というのは、都内在住のワーキングマザーで、愛媛県出身の鈴木諒子さん(47歳)だ。

鈴木さんは8歳上の姉、4歳上の兄がいる3人きょうだいの末っ子。姉は極端に内弁慶な性格だという。

「年が離れていたので、遊びや友達のタイプも違いました。私は活発でしたが、姉は体力も気力も普通の人の6割ぐらいしかない感じ。実際、虚弱体質で滅多に外に出ず、家ではいつも女王様状態というのか、上からものを言う。でも、母はあくまでも姉に優しかったですね」

姉は地元の中学と高校、専門学校を卒業後、現在は無職。バイトやパートで働いたこともあったが、長くは続かない。今日にいたるまで、実家を出たことはないという。

「いまは母が、55歳になる姉の洗濯物を洗っています。バイトに行くときにはお弁当も作ってあげている。この前、帰省したとき、母が『お姉ちゃんは最近、作ってあげたものを自分でお弁当箱に詰めるぐらいに進歩した』と言うのを聞いて、頭がクラクラしました。母にしてみれば、姉の『子育て』はあきらめることの連続だったのかもしれません。」

鈴木さんが子どもの頃、母親に言われて心に残っている言葉がある。自分が小学6年生、姉が20歳のとき。些細なことから大喧嘩をした。

「私は弁が立つので姉を言い負かしたら、姉が私を叩いたんです。母親に言いつけに行くと、母は姉を諫めず、代わりに、私に『あなたが先に大人になって』と。子ども心に、えっ、なんで? と思いました」